• テキストサイズ

君と共に

第6章 蒼い空を


もう辺りは街灯が、我こそ一番というほど光っている。
鈴木と別れ、一人で照らし出された道を歩く。

そして、帰宅。いつもより遅めの帰宅だが、親はまだ家にはいなかった。
恐らく、今夜も話し合いだな。
「とりあえず、飯かな。」
冷蔵庫から、適当に食材を鷲掴み。あー、鶏肉あるのかー。
……………よし、トマト煮込みだな。
野菜室から、トマトを3つ。後は……茄子かな。
一人台所で作業。大抵の料理なら、それなりには作れる。
弁当だって、ひとりで作る時もある。
女子力高いなぁ、俺。掃除はできないけど。

今夜の料理もそれなりに美味であった。
一人暮らし、できると思うなぁ。
夜に黄昏てる男は、あることを思い出す。
「あ、今日、蒼い空だ!忘れてた!」ピッ
蒼い空。簡単に言えば風景や観光名所を紹介する番組だ。
俺はこの番組がとても気に入っていた。
綺麗だし、感動するし、地理の勉強にもなる。
「本日紹介するのはここ!○○川です!この川は昔から水の透明度が高く、鮎が住みー」
ここは……あの川だよな…?
今、画面に映っている景色は見た覚えがはっきりとあった。
綺麗な川沿い。あの川の幅。それに何より…

「あの、大きな木はあのときの…」

最も辛く苦しい過去の舞台に仕立て上げられた、大きな大きな
簾柳がそこに映っていた。
/ 47ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp