第5章 隣の邪魔者
後ろ立ち止まったあいつは、今の俺をどんな目で見てるのだろうか。
憐れみなら、いらない。慰めもいらない。
今欲しいのは、独りでいる時間。
「片倉君にとって今の私は、ただの邪魔者だよね。」
後ろから、少し大きな声での否定的発言。
あぁ、そうだ。今の俺にとってお前は邪魔なんだよ。
だから、もう話しかけ……
「友達になってください!」「え?」
振り向いた先の視界には、頭頂を俺に見せるように
深くお辞儀をする、鈴木がいた。
「私と、友達になってください!お願いします!」
はきはきと、力強く。そして、少し泣きそうにも聞こえる声で
俺に訴えかけた。
「はっきり言う。俺はお前が邪魔だ。」
「やっぱり、そうだよね…。」
「……けど、俺の心に少し気付いてくれたことには……ありがとう。」
「え?」
「今まで、そんなこと気付くような人はいなかった。親も気付かなかったこの心にお前は気付いた。」
「だから、少し嬉しかった。」
「片倉君…。」
「あんなに絡まれると、正直すごくイライラするしめんどくさいと思ってしまうから、ほどほどにしろよ?」
「え…、じゃ、じゃあ…!」
「これから、よろしくな?」
「う、うん!」ニコ
少し暗くなった帰り道を、少し心が晴れた二人が歩いている。