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すうら、すうすう。

第2章 一緒に走ってたっけよ? ~ハイキュー!!白鳥沢


「開けて見たのか」

「え?あ、開けてません」

「・・・中身は煎餅かも知れん」

「え!?煎餅!?何で!?何で煎餅!?」

「何故開けなかった」

「だ、そんな事言われても・・・わッ、ちょ、何ですか、天童さん!引っ張んないで下さいよッ!!!」

いきり立って振り返った五色は、自分の袖を引いて窓に見入る天童の様子に口を噤んだ。

天童は口の端に中途半端な笑みを引っ掻けて、五色に目を向ける。

「五色くんは・・・あの、聞きづらいんだけどサ、今日死んだりしなかった?」

「は?」

天童の突拍子のなさはいつもの事だが、ここまでくればやりすぎだ。

牛島以外の三人が、眉根を寄せて天童を非難がましげに見た。

「天童、ふざけすぎだぞ」

大平がきつい声で諌める。

「流石に引きますよ、天童さ・・・」

言いかけた白布が無言で窓を眺めている牛島の視線を追って、スッと無表情になった。
天童と目を合わせて口を引き結ぶ。
天童が困ったような顔で後ろに引く。
牛島は、窓と五色を見比べて腕を組んだ。

「・・・五色」

「何スか」

「お前今日、もしかして死んでないか?」

「な、ななな何なんスか!?何なんスか!!??アンタまで何言い出すんだ!!!止めろよ、一体何の嫌がらせ・・・・」

言いかけて五色は大平に目を止める。

彼も窓を眺めてポカンとしている。らしくない。おかしい。
牛島や天童が妙な事をしても言ってもそうそう気にならないが、大平がそんな様子を見せるに至って五色はソロリと窓の方へ顔を向けた。

暗い表を貼りつけて鏡のようになった窓に、腕組みした牛島と五色から距離をとった天童と、ポカンとした大平、白い顔をした白布が映っている。

それだけだ。

怒った顔で見返して来る筈の自分の姿が見当たらない。
そこだけポカッと空っぽになっている。

「・・・・・・え?」

ペタペタと顔を触る。腕を擦る。足をはたく。

ちゃんとしてる。大丈夫。
生唾を呑み込んで、もう一度窓に顔を向けた。

・・・・いない。やっぱり自分が見当たらない。
窓に映った他の皆がジワジワと離れて行くのが目に入った。

「ちょ、ちょっと!どこいくんです!?」

自分でもビックリするくらいひっくり返った声が出た。

「いやいやいやいや、いーやいやいや」






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