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すうら、すうすう。

第10章 オバケなんてねえよ。居たら困んだよ。ー銀魂、真選組ー



「…使えねぇだろ、それじゃ」

「使えてんだろ、今、実際」

「箸は人を襲うモンじゃねえ」

「何でも創意工夫なの。いち足すいちが二のまんまじゃアインシュタインも靴下脱がねぇしエジソンも離婚してねんだよ」

「何か言やいいってモンじゃありやせんぜ、万屋の旦那」

「何も言わないより何か言ってる方がマシだろ?気遣いの人なんだよ、俺は!黙り決め込まれてさんざ気ィ遣わされるよりウィットに富んだ無駄口聞いてる方がずっとマシじゃん!?特に肝試しの時とかはさあ!!」

「…肝試し…」

煙草で自分を落ち着けようとしていた土方がマッチを擦り損ねた。

「肝試しなんてモンじゃねぇですよ!何せこの店にゃマジモンのコレが出…」

「やかましい」

両手を胸の前に垂らした山崎をガンと殴りつけ、改めてマッチを構える。

「マジモンでもポケモンでもそんなモンいやしねえんだよ!死んだら消えるしピカチュウはジバニャンと一緒で想像上のバケモンなんだよ!ないモンはない、いねぇモンはいねぇ!世間は常識を馬力にして廻ってンだ、下らねえ事言ってんじゃねえぞ!」

「オメェがそんな事言っても全然説得力ねぇぞー」

「ああ?それこそオメェにそんな事言われたかねぇぞ、万…」

「あッ」

「お?」

「きゃーッ!!!」

山崎が、沖田が、近藤が上げた声で、話が遮られた。びょんと背筋を伸ばして固まりかけた銀時と土方の目が合う。

「うるせぇ!何なんだテメエらは!」

また擦り損ねて挙げ句にポッキリ折れたマッチを投げ捨てた土方が目を三角にして怒鳴れば、股間を押さえた銀時が鼻の付け根に皺を寄せて捲し立てる。

「公僕がきゃーなんて言ってんじゃねえ!おしっこチビりそうになっちゃったよ!マジでチビっちゃったりした日には色々すっ飛ばしていきなり最高裁に思いきりよく訴えちゃうよ!?一大スキャンダルだよ!?いいの!?いいわけ!?」

「その場合一大スキャンダルを晒すのァチビったあんたですぜ、万屋の旦那」

言いながら沖田が首をぐぅっと傾げる。銀時と土方が揃って一歩下がった。

「…何だよ。何やってんだよ、おめぇは!止めろ!何かすげぇ気持ち悪ィ!今そういう悪ふざけに乗っかる気分じゃねえんだ、こっちは!あー、帰りたい帰りたい!帰って塩撒いて風呂入って寝たい!」

「帰りゃいんじゃねえですか。そうすりゃ問題は解決しまさぁ」

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