第3章 絵から吹く風ーハリー・ポッター、ルーナ
あの後、アタシたちはすぐダンブルドアを呼びに行った。相談も何もなし。だってあのコが、あのヒトが、全て収められる者を連れて来いって言ったから。
そんなの三人とも、ダンブルドア以外誰も思い付かなかった。
不思議な事に、部屋を出たすぐのところで探すまでもなく校長先生にバッタリ会った。
何故かスネイプ先生と、昼間見たニホンジンの先生も一緒だった。
三人は何もかもわかってるみたいに動いた。
つまり、すぐ部屋に入って、校長先生はカケジクを手に取り、スネイプ先生はルーピン先生のところへ行き、ニホンの先生は部屋の入り口、アタシたちの傍に残った。守るように。
綺麗なニホンの先生は、アタシの肩に手をかけてスンと鼻を鳴らした。
「・・・梅の香りね・・・?」
そう言って、あのコみたいな黒い髪を揺らしてアタシの顔を覗き込んだ。
「朝すれ違ったとき、あなたからしたのと同じ匂い」
笑った顔が優しくて、アタシは涙を零した。
あのコもこんな顔で話してたのかな。
もう会えないのはわかってた。
あのコはうちに帰りたがってたから。きっとニホンに行っちゃうんだ。・・・でなければもっと遠くに。
肩にかかった先生の手に、柔らかく力が入る。
「・・・素敵なお守りね、ルーナ?」
アタシは泣きながら頷いた。
フレッドとジョージが決まり悪そうにそっぽを向いてくれたから、無理に泣き止もうとしなくてすんだ。
遠慮がちにアタシの頭をそっと撫でた先生の髪からアプリコットがフワッと香って、アタシはとうとう泣きに泣いた。