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すうら、すうすう。

第3章 絵から吹く風ーハリー・ポッター、ルーナ


ルーピン先生はカケジクに目を移して僅かに首を傾げた。

「けれどそれも飽くまで私に言わせればの話だ。本当のところはわからない。しかしそれ以前にハーマイオニーは大きな取り違えをしている気がするんだ」

「何が言いたいのかよくわからないな」

フレッドが面白くなさそうに独り言ちる。

それを聞き付けた先生は裏腹に面白そうな顔でフレッドを見た。

「そう、正にそれだ。よくわからない。ハーマイオニーはニホンというよくわからない国をもう少し掘り下げてから仮説を立てるべきだった」

頁をめくる先生の手が止まった。

「始めに強い動機を持った仮説を想定してしまうと、誰しもそれに引きずられ勝ちになる。今回のハーマイオニーがそれなんじゃないかな」

ルーピン先生は三人の前に印象的な挿し絵が載った頁を差し出した。

シュッと細身の狐が赤ん坊がつけるスタイみたいな赤い前掛けを首にまいて、姿勢よくまっすぐ座っている。フワフワもモコモコもしていない、スルッとした流線で描かれた不思議な狐。

「これはオイナリサンの狐。ジンジャ、こっちでいうところの教会のようなところにいる。オイナリサンはゴッドの事でこの狐はそのゴッドの使いなんだが、狐自体がオイナリサンと思う日本人が少なくない」

手振りで三人に紅茶を勧め、先生は本を閉じた。カケジクに手を伸ばしてそれを結んだ紐の結い目に触れる。

「もしハーマイオニーがこのカケジクがいいものだと思って調べていれば、寧ろこのオイナリサンに辿り着いたのではないかと思うし、私はこのカケジクはオイナリサンの係累の狐が宿ったものじゃないかと思うんだ。調べてみなければわからないけれどもね」

・・・神様の使い・・・?だから教会にいるみたいな気持ちになったりしたのかな。うーん、そうかな?・・・わかんないけど、よくわかんないけど、アタシはこのコ、もっと違うものじゃないかと思うな・・・もっと野性・・・ううん、自由?違うな。気儘でくだけた感じ?違う?うーん・・・

迷うように考え込むルーナとじっと見つめる双子の前で、カケジクの紐が解かれた。

フワッと風が吹いた。

山の匂い。

そう!
誰の下にもいない、自分が自分のマスター、そういう感じ!

匂いに誘われて弾けるように思い付いたルーナは、パッとルーピン先生を見てギクッとした。










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