第3章 絵から吹く風ーハリー・ポッター、ルーナ
「おかしなものなんかじゃないよ。そのコは悪いコじゃないもん」
ルーナが言うと、ハーマイオニーはにっこりした。
「良かった。なら問題ないわよね?」
あ、やられた。
ルーナは口をへの字にして首を傾げた。
ホント何でこのお堅くて賢いハーマイオニーとロンが仲良いんだかわかんないよ。不思議。
「その代わり私に出来る限りの事はするから。待ってて頂戴」
「ちょっと待てよ、ハーマイオニー。それは君のものじゃないだろ?ルーナがいいとも言ってないのに話を進めるなよ」
ジョージが焦った様子で話に割り込んで来た。
「そいつはルーナのタリスマンだぞ。無闇に他人が持つもんじゃない。何せそいつにはスピリットが宿ってるんだからな」
・・・フレッド。余計な事言ったよ、アンタ。
口を滑らせたフレッドに、ルーナは溜め息を吐いた。
あーあとまたロンが洩らし、ネビルは目を瞬かせてハーマイオニーの様子を伺った。
果たしてハーマイオニーは眉を跳ね上げてとびきり意固地な表情を浮かべる。
「そういう事ならますますキチンと調べなきゃいけないわ。変なものだったら困るもの」
「変なものなんかじゃないったら!」
ルーナが堪りかねて大きな声を出す。
談話室がシンとなって、そこにいたグリフィンドール生の視線がサッとルーナとハーマイオニーに集まった。
「だったら問題ないでしょ?兎に角これは預かるわ。色々ハッキリするまでね」
ハーマイオニーは怯まない。キッパリ言ってツンと顎を上げた。
「色々って何?そのコは悪いコじゃないの!変な言い方しないで!」
「変なのはあなたの方よ、ルーナ!これはカケジク、物なのよ!?そのコとかこのコとか呼ぶもんじゃないわ!おかしいじゃない、そんなの!」
「石頭のアンタにはわかんないんだよ、ハーマイオニー・グレンジャー!そのコはただの物なんかじゃない!ちゃんと生きてるんだから!」
「石頭で結構よ!これは預かります!何かわかったらちゃんと教えるから安心しなさいよ、ルーナ・ラブグッド!例え石頭でも私は意地悪じゃないから!」
決まりだ。今晩から何日かお守りはなし。
ルーナは肩を落として唇を噛んだ。
「石頭なんて言ってゴメン。ハーマイオニー。頼み事しといてこんな態度ないよね」
「・・・いいのよ。私も・・・私も言い過ぎたわ」