第3章 絵から吹く風ーハリー・ポッター、ルーナ
「・・・・ニホンのカケジク?何だか変わった絵ね」
談話室のテーブルの上でハーマイオニーがカケジクを開いたのは、夜遅く。ビックリするくらい長ーいレポートを書いたハーマイオニーは、ご機嫌だった。
「これは・・・犬?狐?」
また・・・・ちょっとハーマイオニー、アンタ、ウィーズリーみたいだよ?大丈夫なの?
ルーナはカケジクを巻いて部屋に帰りたくなった。
周りにはウィーズリーの双子にロン、ネビル、そしてハリーがいる。
「面白い絵だね。こういうの初めて見る」
ハリーが頭の中で色んな考えがクルクル回ってるのがよくわかる目で、カケジクをじっと眺めている。
「不思議だな。見てると一人で教会にいるみたいな変な気になる。オリエンタルな絵なのに」
あ、わかる。その感じ。多分ネビルはそれを怖いって言ったんだと思う。
だよね?
ネビルを見ると、目が合った。頷いてる。
「・・・わからなくもないけど・・・これって何なの、ルーナ」
ハーマイオニーに聞かれて、ルーナはちょっと口ごもった。
お守りなんて言ってこのハーマイオニーが信じるかな・・・
「パパから貰ったタリスマンなんだよな?」
フレッドが横からサラッと言ってしまう。
「パパって、ザ・クィブラーのゼノフィリウス・ラブグッド氏?」
眉をひそめたハーマイオニーにジョージが肩をすくめる。
「ルーナに何人もパパがいるなんて聞いた事ないからな。それで当たりだろ。それが何だ?」
全く同感。だから何?
あーあとロンが小さく洩らした。それを聞き付けたハーマイオニーが、キッとロンを睨み付けてからルーナに顔を向ける。
「ねえ、ルーナ。この絵、私に二三日預けてくれない?」
「え?」
それは・・・・それは考えてなかったな。預ける?このコを?ハーマイオニー・グレンジャーに?
「大事なものなんでしょうから人に預けるのなんか厭だと思うけど、調べるならやっぱり手元に実物がなくちゃ。どう?」
生真面目な顔で言うハーマイオニーにルーナは考え込んだ。カケジクについて知りたいと持ち込んだのはルーナ、ハーマイオニーはおかしな事は言っていない。
「ちゃんと返すって約束する?」
「おかしなものじゃなきゃね」
ハーマイオニーは遠慮がちに、でもキッパリと言った。