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すうら、すうすう。

第3章 絵から吹く風ーハリー・ポッター、ルーナ


どっから盗み聞きしてたのよ、アンタら!

「悪くない提案だがフレッド、ひとつ問題がある。彼女は俺たちがスネイプに悪戯を仕掛けてからこっち、あの綺麗な顔に物凄い迫力を込めて俺たちを見るようになったろ。つまりだ。あの人は、俺たちを、あんまり好きじゃない。頼み事どころの話じゃないぞ、あの様子は」

「まさかそんなと言いたいとこだけど、その通りだな、ジョージ。他にニホン人はいたか? 」

「そんな簡単にのたもうな。ここは大英帝国だぜ?極東のジャパニーズなんざそうそういやしない」

ジョージがカケジクを手にとって顔を寄せた。

「これ、狐だな。何てったかな・・・ジャパニには狐のスピリットがいるんじゃなかったか?」

考え考え呟いた相棒に、フレッドがポンと手を打った。

「おいおい、俺達は明き盲か?万調べ事と言えばとっておきの専門家がいるじゃないか、我がグリフィンドールには」

「あ、そうか。危うく間抜けの憂き目を見るところ。正に灯台もと暗し。身近な逸材を見逃すとこだった」

互いを指差しあった双子の声が重なる。

「ハーマイオニー」







「昨日のあれ、ホントにハーマイオニーに見せるの?」

良いのか悪いのか、カケジクで一頻り盛り上がった日の翌日、髪にブラシも通さずに朝食の席についたルーナに、朝一番の声をかけて来たのはネビルだった。

隣の椅子を引いて腰掛けながら、ネビルは心配そうな顔をしている。

「何で?」

ルーナは薄いトーストにマーマレードを塗りながら、寝起きの掠れ声で尋ねた。

「・・・ルーナがいいならいいんだよ。ただ、ハーマイオニーって、ちょっと厳しいとこがあるから・・・・」

「ネビルはあれが悪いスピリットだと思う?」

いささか憮然として聞くと、ネビルは真顔で静かに首を振った。

「まさか。あの絵は悪いものじゃないと思うよ。本当に紙から出て来るかどうかはわかんないけど」

いつもおどおどして優柔不断なネビルらしくない確信ありげな様子に、ルーナは口をつけかけたミルクのグラスをテーブルに置いた。

「アタシもそう思うよ」

昨日、あのカケジクにいたく興味を示したウィーズリーの双子は、カケジクに宿るスピリットが何なのかを矢鱈に知りたがった。どうせ何かの悪戯にでも使ってやろうという腹なのだろうが、ルーナはちょっと意外だった。




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