第10章 オバケなんてねえよ。居たら困んだよ。ー銀魂、真選組ー
「一体何しに来たんだアンタは!俺の心を折りに来やがったか!?公務執行妨害だぞ!?帰って寝ろ!見えねぇ客連れて屯所に戻れ!」
「え…。そんな事したらお前帰って来辛くない?見えないお客さんでいっぱいの屯所にちゃんと帰って来れんのか?」
「誰が帰るかそんなお化け屋敷」
「だろ?じゃ連れてく訳にいかねぇじゃん」
「見えねぇ客がいる前提で話してんじゃねぇぞ」
「いやぁー、見えねぇ見えねぇと思ってっから見えねぇんじゃねえですかい?こうやってじぃっと目ェ細めてよくよく見てみりゃ案外…」
「案外も心外も人外もねえよ!目なんか細めんな!眼球が乾いて萎びて落っこちるまでかっ開いてろ!よくよく見ようが見まいが何もいやしねぇんだよ!何ならお前らも居ね……よし、そうだ。それがいい。誰も居ねぇ。居ねぇから仕事終わり。事務所で一服だ。チッ、クソつまんねぇ事でどっと疲れたぜ」
「俺らを放っといて万屋の旦那と乳繰り合おうってのかィ?気味悪ィな。近藤さん、斬っちまっていいですかねィ、この変態ニコチン」
「うん?そんな流れでニコチンなんて言うと何だか違う二個チンになっちゃわない!?やっ、参ったな!わはははははは」
「………」
馬鹿らしさに怒る気も失せた。
手荒に料理をテーブルに置いてさっさと背中を向けた土方に、近藤がニコニコしながら言った。
「まぁ乳繰り合うなら万屋じゃねぇよな!女の子に決まってる」
「…くっだらねぇ。俺ァ仕事に来たんだよ。誰とも妙な真似する暇ァねぇんだ」
「またまた。可愛い?それとも綺麗系?」
「しつけえぞ!何が何系だ!?W7系か!?E3系か!?かがやきでもとれいゆつばさでも何でもいいから乗っかって失せろ!何ならグリーン席とってやるから!どっか行ってくれ、もう頼むから!」
「誰が新幹線の話をしたってんです。アンタ意外に鉄入ってやすねぇ…。ますます気味の悪ィ。近藤さんが言ってんのは窓も開かねぇ鉄の箱の話じゃありやせんぜ。さっきアンタと入れ違いに厨房に入ってった陰気臭ぇメス豚の事でさぁ。うちのエロゴリラが新幹線の話なんかすると思いやすか。空気汚してねぇで空気読め、ニコチンマン」
「…何だソレ。俺ァ誰とも入れ違っちゃねぇぞ。大体この時間裏にゃ俺と万屋しか……」