第10章 オバケなんてねえよ。居たら困んだよ。ー銀魂、真選組ー
「…土方さん、アンタ馬鹿だぁ」
「…テメエの暴言にゃ大概慣れてる筈なんだが、今日はまた一段と腹が立つな。漏れそうならンなとこでグジグジしてねぇでさっさと便所に行け、このバカ」
「俺ァ糞ァしねぇ事になってんですよ。美男って美男にゃ乳首もなけりゃケツ穴もねぇってのが公式なんでさァ。…おっと、アンタみてぇな粘着マヨネーズヤローにゃ関係ねぇ話でしたねィ。こりゃ失礼しました、マヨ方コレステロール副長」
「ごちゃごちゃうるせぇな。オメェが糞詰まりだろうがダダ漏らしだろうがどうだっていんだよ。朝から汚え話させんな、クソ」
「クソはアンタでさァ」
「糞は糞だ。早く便所に行け、馬鹿」
「誰が便所に行きてぇなんて言いました?馬鹿はアンタでさァ」
「うるせぇな!出るんだろ!?行けよ、便所に!こっちゃテメエのクソ事情に付き合ってる暇ァねんだ。どうしてもクソの話がしてぇなら近藤さんとこ行け!喜んでのってくれんだろうよ、あの人なら…」
言いかけた土方は沖田の上にヌルッと出た顔を見て口を噤んだ。
「…近藤さん。アンタまで何やってんだ…」
「…デるんだよ、トシィ…」
顔半分覗かせて、近藤が呻く。
「近藤さん。ここは便所じゃねえぞ。何で揃いも揃って一晩で便所と座敷の区別もつかなくなっちまったんだ?何かの伝染病か。アウトブレイクか?悪ィが俺ァダスティン・ホフマンじゃねえし、アンタも猿じゃなくてゴリラだ。沖田は可愛い女の子じゃなくてケツ穴のねぇクソガキだしな。わかるか?わかるよな?話にならねえのがわかるよな!?おーい!!!!誰かこいつら便所に隔離して来い!!!!!」
怒鳴った土方に近藤と沖田が揃って首を振った。
「デんのは便所じゃねんだよ、トシィ。で、何?猿じゃなくてゴリラって何?何の話?」
「デんのはファミレスでさァ、マヨ方さんよォ。で?俺が可愛い女の子に見えるんですかい?無理もありやせんがキビの悪ィ。腹切って詫びろ、この変態クズ野郎」
土方の眉間にマリアナ海溝もびっくりの深いシワが寄る。
「……何が出んだよ、ファミレスに」
「ユーレイだよ、トシィ」
「アンタのお仲間でさァ」
「あぁ?」
土方は額に噴火直前のイエローストーンもかくやの青筋を浮かべて煙草を噛み切った。