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すうら、すうすう。

第10章 オバケなんてねえよ。居たら困んだよ。ー銀魂、真選組ー



「除隊したい?ああ?いきなり何ふざけてんだテメエは」

正座して黙念と俯いた山崎退を半眼で叱責し、土方は咥えていた煙草を指先に挟んで煙を吐いた。

「おい」

「……はい」

「はいじゃねぇよ、おい」

「…はい」

「はいじゃねぇっつってんだよ、おい」

「はいの何が悪いんですかあァ!?おいと何か違うんですかあァ!?てか、おいって何だ、おいィイ!!!」

「…大丈夫か、オメー」

「大丈夫じゃないから除隊したいっつってんですよォ!!それっくらいもわかんねえでおいとか言ってんじゃありませんよォ、おいィィい!!!」

「……」

「……」

「……」

「…すいませんでした…」

「おお。何だ、死にてぇのかと思ったぜ。それで何だ?何で除隊してぇなんて言い出したんだ、おい」

「おいって何だ、おいィィイ!!!」

「しつけえぞ、バカ!!」

ガツ。

鈍い音がして座敷が静まる。

「おーい、誰かこいつ連れてけ」

障子戸へ向かって土方が言うやいなやわらわらと隊員が入って来て、頭から煙を上げて俯せている山崎を抱えて出て行った。

「たく、朝っぱらから何だってんだ、メンドくせぇ」

舌打ちしてチビた煙草を揉み消し、新しく一本口に咥える。

山崎は今深夜まで営業するファミリーレストランに潜入捜査をしていた。店長に攘夷派へ資金横流しの疑いがある。資金ばかりでなく火器取り引きの場として使われているという垂れ込みもあり、繁華街から微妙にズレて大した繁盛も見せていない暇なその店舗で、山崎はもう半月も厨房勤務の地味男を演じているというか、地で勤めているというか、兎に角そういう状況にあった。

除隊したがるような要素がさっぱり見当たらない。
何しろ一から十までまるっきりいつもの山崎がいつもの山崎らしい事をしているだけなのだから。

「…デるらしいですぜィ…?」

ボソッと小さな声がして見やると、障子戸から顔の半分覗かせた沖田総悟がこっちをじぃっと見ていた。

「…何の真似だ。半端なカッコしてねぇで話があんならさっさと入って来い」

しかめっ面で言った土方へ、沖田は暗い目で首を振る。

「山崎ン潜入先ィ、デるんですぜィ…?」

「ああ?ごちゃごちゃうるせえな。瞳孔開いてっぞテメエ、気味悪ィ。何が出るって?出すんなら出すトコ行って出せよ?ここで漏らしでもしたらぶった斬るからな、あ?」
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