第2章 一緒に走ってたっけよ? ~ハイキュー!!白鳥沢
「何だったんだ、一体・・・全く人騒がせな」
白布が腕をさすりながら隣を行き過ぎる。
「何が何だかよくわからんが、まあ良かったなあ、・・・うん?・・・・良かった?いや、・・・うん、戻って良かったな、五色」
肩の力が抜けた顔で、大平が五色と窓を見比べる。
恐る恐る顔を向けると、窓に白い顔色で情けない表情の自分が居た。
「あ・・・・・」
戻った。
ちゃんと皆と同じように窓が自分を映している。
「おい、座り込むな。置いて行くぞ」
脱力してへたり込みそうになった五色の腕をとって牛島が歩き出す。
「いや、今度映らなくなったら問答無用で置いて行くが。そうなる前に帰ろう」
「ハイ」
珍しく素直に頷いて、五色も歩き出す。
「・・・・・・」
残った天童が、窓と自分の隣をチロッと見比べた。
窓を開けろというゼスチャーをしている瀬見に首を振って、ピョンと跳ねるように歩き出す。
「今そっち行くからね~」
山形が顔をしかめてさっきまで五色と天童のいた辺りを指差し、もの問いたげな表情を見せた。
瀬見も、不思議そうに山形と同じ場所を眺めている。
天童はまた首を振って、スキップで牛島たちを追った。
「いいからいいから。大丈夫~」
廊下の端に辿り着き、灯りを消す。
フッと長い廊下が真っ暗になった。
「じゃあねえ~」
暗い空間に声をかけて、天童は廊下を後にした。
「全くいつまでも戻って来ないと思ったら、何をしているんだ、お前らは」
生徒玄関の表で山形がムッツリと五人を見回す。
「校内を走っちゃダメじゃないか」
「あは~、またまた。何真面目な事言っちゃってんの?ヤキモチ?」
天童に言われて山形の眉が跳ね上がる。
「馬鹿らしい」
「何だ、お前も走りたかったのか」
真顔の牛島に、山形は言いかけた言葉を呑み込んで苦笑いした。
「まあいいや。・・・何だ、こっちの三人はやけに静かだな?」
「静かにもなりますよ」
白布が疲れた顔で答える。
「五色、もうやるなよな。非常識だぞ、お前」
「ひッ、非常識!?何で俺がそんな事言われなきゃないんですか!?」
「いや、流石にあれは非常識だろう。ホントもうやるなよ、五色」
「大平さんまで!?何ですか!何なんですか!?俺なんか一番の被害者でしょうが!!!」