第1章 始まり
「あのね、私転校するかもしんない」
「は!?マジ!?」
心底驚いた様子で友達は此方を見た。そんなに転校がありえないのかと思って彼女の顔を見て苦笑し呆れたように言う
「そーだよ。そんなに信じらんない?」
「そりゃぁねぇ。しかも転校してほしくないんだけど」
いつも強気な彼女が急にしゅんとなると、母性本能云々というかなんというか...。ギャップ萌えってやつだね
きゅんときた自分は彼女の頭を撫でてやる
その行動に涙がじわりと滲んだのかぎゅっと抱きついてきた。それに応じて私も彼女を抱きしめる
「ごめんね、心配させて。だいじょーぶ!会いに行くから」
「絶対来てよ。来なきゃ殺す」
あら、物騒だなぁ。なんて思いながら私も涙を滲ませた
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「母さん」
「私、あの学校いくよ」
「あら、母さんは最初から行かせるつもりだったのだけど?」
うっ、と思う。初めから決まっていたのか
まぁそうじゃなきゃ言わないとは思うが
「ほら、これ制服ね。明日から登校しなさい」
「え、明日から!?」
唐突すぎてなにも理解出来ていない。制服があるということは今の学校にいたいという願望も聞いてくれなかったということだろう
...問題は、明日からという事実についてだ。
私は基本チャリ通だがどうすれば?場所は?私なんも知らねぇよ
「場所は近所のあんずちゃんが教えてくれるわ」
「え、あんずちゃん?」
中学まで一緒だった私の友達。高校で離れてからも度々遊んではいたが高校までは知らなかった...
ポケットから携帯を取り出してあんずちゃんにメールを送る。某SNSアプリだけど
私あんずちゃんの学校転校するんだけどしってる?、と問いかけるとすぐに返事が返ってくる。
しってるよ、あした迎えにいくね!ときて可愛いスタンプまでついてきた。あんずちゃん可愛いンンンとか思いながら不思議に思う
「あんずちゃん私が転校するのいつ知ったんだろ」
「そりゃあ、あんずちゃんが貴方を推薦したからよ」
「推薦!?」
「ええ、そうよ。あんずちゃんはプロデュース科らしくって、1人じゃ大変だからってね。
よかったわね」
全然よろしくない!