第1章 始まり
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すやすやと眠る自分。心地よい気分でありながらなんだか複雑な気分であった
それは何故?
「名前ちゃん」
誰かが私の名前を呼んだ。大好きな人なのに名前が思い出せない
なんでだろうか
私は闇に堕ちていくようにまた深い眠りにつこうとする。が、それを止められた
「名前ちゃんったら!起きて!」
ゆさゆさ揺する人は母さんではない。紛れもなくあんずちゃんだったことは一目でわかった
その瞬間、全てのことを思い出した私は再び寝ようとする
それを止めた彼女に制服を着せられ、しぶしぶしゃこしゃこと歯磨きを始めた
「おはよう名前ちゃん。制服似合ってるよ」
「ちっとも嬉しくないね。あ。あんずちゃんはバッチリ似合ってるよ」
ふふ、と笑う彼女は何処か大人っぽくて。私は胸部もたぷたぷではないし可愛さも大人っぽさもなかった
胸部はぺったんこであり身長は平均より少し上くらいで
体力はないしおまけに馬鹿だ。最早女子力の欠片もない
「大丈夫!名前ちゃんは可愛いよ?私が保証するもん」
えっへんとドヤ顔する彼女が可愛くてついぎゅーっとしてしまった。えへっ
歯磨きが終わると、急かすようにしてあんずちゃんが私の手を引いた
急いでっと一言いって走り出す
待ってむりですよ!と言おうとしたがばたばた走っていく彼女を追いかける一方でなにも言えやしない
生憎私は体力がない。だからすぐに体力がつきてしまう
あは、ここどこ。