第2章 〜序章〜
悠『?』
俺は思わず顎に手を添えた。
蓮「久々にお前のそんな言葉聞いたから」
悠『は?』
蓮「いや悪い気にしないでくれ。それより謎の組織の事が少し分かった」
少し切なそうな顔をしていた蓮の顔付きが一瞬で真面目な様子に変わった。
悠『それで?』
蓮「幹部の平均年齢が18ぐらいで部下は幅広くボスは謎。もしかしたらすでに俺達の学校にも潜んでるかも知れないから気を付けろよ。それと明日来る転校生にも要注意だ」
悠『あぁ』
意外にも俺達とそう歳が変わらないらしい。
そうなると既に俺達の近くに紛れていてもおかしくない。
蓮の言う通り気を配った方が良さそうだ。
蓮「因みに謎の組織が初めて出没したのはイタリアだそうだ。もしかしたらイタリアと何か関係があるのかも知れないな」
悠『イタリアか…』
蓮「まぁ、新しく入った情報はこれくらいだ」
悠『そう。お疲れ様』
蓮「それにしてもまさか俺達と同世代の奴らだったとは驚いたぜ。ある意味やりにくいな」
悠『けど、それはお互い様な筈だ』
蓮「そうだな。じゃあ報告も終わったことだし俺はそろそろ寝るぜ。悠貴も早く寝ろよ、おやすみ」
悠『おやすみ』
蓮は俺の部屋を出て行き、自分の部屋へと戻って行った。
悠『イタリア…』
イタリアと聞いて俺の中で何かが引っかかった。
だけど今のところ思い出せそうにない。
イタリアと謎の組織に何らかの関連性があるという可能性が俺の中で高くなった。
気分転換の為に少し風にあたる事にした。
ベランダに出ると満月になりかけの月が出ていた。
そう言えば明日は満月だ。
風にあたっていると少し身体が冷えたので暫く月を眺めてから部屋に戻ることにした。
部屋に戻り、しばらくイタリアの本を読み続けた。
イタリアに関する本を読めば何か思い出したり、気付いたり出来るような気がしたからだ。
しかしどれだけ本を読み続けても一向に収穫を得る気配が全くないので今夜は寝る事にした。