第2章 1_突然の出逢い
「この子は‘今’は話したくないと言いました。なので私からは言えません。」
「(言いたくないのはこの事か‥)二重人格って事?」
「お答え出来ません。」
「完全に否定しないって事は当たってるって事かな?」
「‥‥‥。」
「沈黙は肯定として受け取るから」
「‥私からは言えません。」
「其れじゃ本人に聞くよ」
「この子に妙な真似をすれば、私が貴方達を殺します。」
「そんな事しないよ」
「‥その言葉、確かに聞きましたよ‥。この子が目覚めた時は、どうか安心させてあげて下さい。私には不可能なので。」
リターンは哀しい表情をして眼を閉じる。
「‥この子は、ずっと貴方達を探していたのデスから。」
「え‥‥?」
シャルが聞き返す前に再び眼を開くと、漆黒の色は消えて居た。
「‥‥?」
リトは何が有ったのか考え、
「‥あ、」
そして思い出す。
「私‥、また、可笑しくなって、た?」
リトは震える手で頭を抱える。
「リト?」
「‥また、ッ。何で。私‥僕が私でない感じに‥‥」
「‥リト、大丈夫?俺の事が解る?」
「‥‥アナタは、‥‥リターン‥?」
「違う、シャルナークだよ。落ち着いて」
「‥シャル、‥」
そのままリトは意識を手放す。
地面に突っ込む形になったので、シャルは慌てて受け止める。
「‥‥複雑、なのかな‥?」
( コンコン
扉をノックされシャルは急いでリトに帽子を被せる。
「シャル、団長が呼んでるね」
「(フェイタンか‥)うん、解った」
「‥開けて良いか?」
「え?(どうしよう‥この状況を上手く誤魔化せるかな?)」
シャルが考えてる間に扉が開く。
入って中の様子を見たフェイタンはシャルに支えられたリトを見る。
「やぱりね。人間の気配が一人しかしないと思たら、気絶か」
「‥あー、そっか。よく考えれば解るよね」
「‥操たのか?」
「ううん。只、ね‥。あ、そうだ。ちょっと団長と話して来るからこの子の事見ててよ」
「‥は。何言てるね。何でワタシが、」
「フェイタンを信用してるから!」
「おい、待つねシャル!」
そのままシャルが部屋から出て行ってしまったので、フェイタンは仕方無くリトを見る事にした。