第2章 1_突然の出逢い
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「団長!ちょっと向こうで話したいんだけど」
シャルは広場で本を読んで居るクロロに片手を上げて声を掛ける。
「ん?‥嗚呼、解った」
クロロは読んでいた頁に栞を挟み、閉じた。
「――其れで、何か解ったのか?」
「まあ、ね‥」
歯切れの悪いシャルに疑問を感じ、
「言える範囲内で良い、話してみろ」
と指示を出す。
シャルは先ずリトが女で有ること、二重人格のこと以外を話した。
「名前はリト。見た目だけじゃ解らないけど、男だよ」
「そうか。だが男でリトとは、珍しいな」
「ん?嗚呼、そうだね(名前変えた方が良かったかなあ‥?)」
「――他には?」
シャルは気を取り直して報告する。
「やっぱり念については解らないみたい。俺達の事も能力や名前は何故か解るみたいだけど、幻影旅団っていうのもさっき知ったみたいだしね」
「さっき‥、あの送られて来た写真のか?」
「うん。あれはリトが全部倒した。数秒で」
シャルは話しながらクロロの口角が上がるのを見ていた。
「其れでその本人は?」
「あ、えーと。今はフェイタンが見てるけど‥」
「フェイが‥?」
「原因は解らないけど、気を失ったんだ」
「‥そうか。一旦広場に戻るぞ。フェイとリトを連れて来い」
「了解」
シャルとクロロが纏めに入った時、フェイタンは眼を見開いて驚いていた。
「‥コイツ、寝てるのにオーラが凄いね」
リトの身体から通常では考えられない程のオーラが出ていた。
「お前、何者ね‥?」
フェイタンが様子を伺っているとリトの眼がパチッと開く。
「‥‥‥」
「‥‥‥」
リトは暫くボーとしていたが、ふと隣から気配を感じ頭を動かす。
「‥誰?」
眼の前に見覚えのない人間が自分を見張っているのに対し疑問を感じ、問う。
「‥お前に名乗る必要はないよ」
「そう。其れじゃあの人が何処に行ったのかは、聞いて良いですか?」
「‥シャルの事か?‥アイツは団長の処に行た。だからワタシが見張り役ね‥」
そう言うとフェイタンは溜め息をする。
「‥謝った方が良いですか?――と言うか、別に僕は貴方達に何もする気はないし」
リトはゆっくりと身体が思い通りに動くか確認しながら立ち上がる。