第2章 1_突然の出逢い
その時に少し捲れた帽子の隙間から、二人はリトの耳元のピアスが見えて、そのピアスが光を帯びているのを確認していた。
「‥え?」
「‥‥♪」
ヒソカは先程よりも不気味に笑う。
「‥少し、ぼんやりしてました」
リトはそう言うと一気に男達の脇腹を狙い切っていく。
男達が悲鳴をあげる中、リトは小さい声で呟く。
「‥此れで立てなくなりましたね」
リトの頬には自分以外の血も付着して居た。
だがリトは気にしないで武器、つまり隠しナイフに付いた血を手で拭う。
そしてやっと二人の事を再び見る。
「‥この方達の事、任せて良いですよね?‥僕、急いでるから」
ナイフを再びホルダーに仕舞うと、外へ繋がっている穴に脚を動かす。
ヒソカは人差し指を立てて呟く。
「バンジーガム◆」
「!?」
身動きが取れなくなってその原因を考える。
「(‥何?)‥‥僕に何をしたの?この巻き付いたのは何?」
リトの言葉を聞いてヒソカは笑いながら応える。
「へぇ。此れが見えるって事は念が使えるって事だね◆」
念という言葉に眉を潜める。
「‥‥念‥、知らない、離して下さい」
逃れようと身体を動かす。
「君の事を教えてくれたら良いヨ◆」
「‥なら結構です。自分でやるです」
「出来るのかい?」
「愚問」
ヒソカの質問に答えると、リトを拘束していたヒソカの念能力が砂塵へと化した。
「――――!」
其れを‘凝’で見ていたシャルナークは眼を見開く。
「君、もしかして除念師?」
リトは身体が動くか確認しながらシャルナークの眼を見る。
「其れも知らないし、‥違う。僕は、‥!」
「――!ヒソカ!!止めろ!」
リトはいつの間にか背後にいるヒソカに気付かず、両手を拘束される。
「‥君、面白いね◆興味出てきた‥♪」
「ッ、放して!」
「さっき君のピアスが色を変えて光ったよね?」
「だから何です?‥放して下さい」
ヒソカを横目で睨みながら拘束された手を動かす。
そのせいで反対の方向から近付いて来るシャルナークに気付かなかった。
「君の事が解るまでは離さないヨ◆」
「だから貴方に話す事はっ―――、」
リトは全身に力が入らず、後ろに居るヒソカに寄り掛かる姿勢になる。