第3章 2_ハンター試験
会場に戻って来るとまだ誰も居なかった。
リトは先程と同じ様に抱えてる豚を処置して、ブハラに合う大きさに捌いて食器に盛付け無言で手渡す。
「うひゃ~やっと食べれるー!君、早いね」
戴きま~すと言い吸い込む様に胃の中へ入れて行くのをぼんやりと見ていたリトは、メンチに声を掛けられたので、視線をメンチに移す。
「確かに早いわね。最後に出て行った割に。‥処で、さっきのはリトの能力?」
「‥普通だと思いますけど。‥能力、とは?」
メンチの問に対してやはり無表情で答えるリトは
、逆に聞き返していた。
その事でメンチとブハラは驚いた様に眼を丸くした。
「え?違うの?!」
「君、念能力者‥だよね?」
ブハラの言った一部の単語に反応する。
「‥‥念、」
黙り込んで思考を巡らせているのを確認したメンチとブハラは一度互いに眼を合わせる。
すると遠くから土を蹴る音が響き、受験者達が豚を抱えて此方へ走って来ていた。
***
ブハラは70頭の豚の丸焼きを完食した。
=70名の受験者が通過した。
「二次試験後半、あたしのメニューは‘スシ’よ!!」
メンチの発した試験内容に受験者達は首を傾げる。‥一人だけはにやけていたが。
其れはリトも例外ではなく、首を傾げて居た。
「‥豚だけでは無かったんですね、試験。‥スシですか。‥美味しいんですかね?」
ぶつぶつと呟きながら歩いて会場から出て行くのを複数の人間が見ていた。
「ねえあの人何処かに行っちゃったよ?」
ゴンに同意するようにレオリオも口を開く。
「だな‥まさかスシっつーの解るのか??」
「‥具体的な形は見たことないが、文献を読んだ事が有る。確か酢と調味料を混ぜた飯に新鮮な魚肉を加えた料理‥の筈だ」
クラピカの説明にレオリオは大声で食材の名前を大きな声で叫んでしまい、他の受験者に聞かれてしまった。
「(‥やっぱりアレ、リトだよね◆あんな格好してどうしたんだろ‥?)」
ヒソカは何か企んだ表情をしながら会場から出る。
そしてもう一人、リトの事を視ている人物が居た。
「‥‥リト」
リトを呼ぶその声は、とても小さい物だった。
「‥やっと、見付けた。見間違いじゃ無かった‥」
その表情は何処か安心している様に見えた。