第3章 2_ハンター試験
「‥‥解らないのよ、何を考えてるのか。‥いいえ、何も考えてない様な眼をしていたわ」
「‥どういう事?」
「うまく言えないわ‥無感情って言うか、(‥でもほんの一瞬だけ濁った色をしてた‥)」
***
「ねえフェイタン。‥殺す事の意味とか考えた事有る?」
「‥無いね。考える必要無いよ」
「だよね~」
リトが試験官二人と話しているのを絶を使って聞いていたシャルナークとフェイタン。
ずっと枝の上からリトを見ていた。
「だけど何であんな格好してんだろ?‥まるで男みたい(一次試験の時見失った間にでも着替えたのかなあ?)」
シャルナークの呟いた声に眉を潜める。
「‥何言てるね、彼奴は男ね」
「え。あっ、うん。そうだね(危ない、声に出てたか。と言うか良かったのかな、本当の名前なんか教えちゃって)」
「其れより気になたのは、ヒソカね」
フェイタンが発した事で思考する事を止めて答える。
「嗚呼、あの傷か。‥本当、凄いよね。あのヒソカに深傷を与えるなんて(でもそのせいで余計にヒソカに眼を付けられたよなあ確実に)」
「‥団長は何を考えてるね。仮に彼奴を連れていて、何するか?」
「‥‥。‥さあ?兎に角今はリトを追い掛けないと」
***
「‥グレイトスタンプさんでしたか」
リトは目の前に居る世界で最も凶暴な豚と言われているグレイトスタンプと対峙していた。
「‥まあ此れなら一匹で空腹を抑えられますかね?」
此方に突進して来る数匹のグレイトスタンプをぼんやりと見て傍に落ちている小石を手に持つ。
「‥遠慮なく戴きます」
呟くと同時に小石を投げる。
投げた小石は弱点で有る額にゴツリと命中し、次々と豚は気絶する。
リトは動かない其れに近付き、手を当て眼を閉じる。
するとグレイトスタンプから骨や内蔵、他に不必要な物が次々と空に放たれる。加えて不思議な事に豚が段々と焼けていき、程よく焦げ目が付き、芳ばしい匂いが充満する。
リトは豚から手を離し、袖の中からナイフを取り出しブツリと刺し込む。
「‥戴きますです」
リトは数分で平らげ、一匹を同じく焼き上げてから背負って試験会場に戻った。
***
「(‥ぇ。あの身体であの巨大な豚を全部食べた‥?‥リト、凄い‥)」
→シャルナーク