第3章 2_ハンター試験
「‥‥(女の人と、大きい男の人?)」
リトは受験者が一ヵ所に集まる中、一人木の枝に乗り、目の前に有る建物の中を気配で探って居た。
すると二人分の足音が湿原の奥から聞こえた。
「‥来れたんですね」
ボソッと呟き、そっと地面に降りる。
ゴンとクラピカはレオリオの元へ走り、安否確認をしていた。
其処にキルアも加わる。
「ゴン!もう戻って来れないと思ったぜ」
「レオリオの香水の匂いを辿ったんだ!!」
ゴンの言葉にキルアは驚愕し、やはりゴンは変わり者だと思った。
「あ、其れよりリターンは?」
「えっ?来てないの??てっきりもう此処に居るのかと思ったんだけど」
「はあ!?アイツ何処行ったんだよ!!(‥リトがこんなんで殺られる訳ねーし、クソっ)」
キルアは周りをキョロキョロと見渡しながらリトの気配を探す。
「‥‥?」
大分離れた距離に立っているやたら袖丈が長く、そして深く帽子を被った男に眼を留める。
僅かだがリトの気配を感じた。
「(‥んん?気配は似てる、けど。‥明らかに別人だよな‥?つかあんな奴いたっけ?)」
暫くその人物を半分睨んで様子を伺ったが、やはり解らなかったので、眼を逸らし別の処を探す事にした。
「ねえキルア。やっぱり何処にも居ないよ?」
途中ゴンが声を掛けてきた。
どうやらゴンやクラピカ、レオリオもリトの事を探して居たらしいが、何処にも見当たらない様だった。
「‥はあ。‥本当に落ちたのかよ‥、」
キルアの呟きはまだ少し湿った空気の中に消えた。
そんなキルアを見てゴン達は慰める様に口を開いた。
「まだ決まった訳じゃないよ!もしかしたら俺達が見逃してるのかもしれないし、後で試験官の人に聞いてみようよ!!」
「そうだぜ、何しろお前がそんなに懐いてんだ。‥リターンの事、信じてやれよ!」
「私も二人に同意見なのだよ。彼なら大丈夫だろう」
三人の言葉を聞いたキルアは苦笑して、そうだな、と気を取り直す。
***
「て言うか、リターンの事で忘れてたけどこの変な唸り声、何?」
ゴンがキルアに問う。
「見ての通りさ。変な唸り声はするけど、全然出てくる気配はないし‥まあ待つしかないんだろうな」
すると建物に備え付けて有る時計の針が正午を指す。
扉はゆっくりと開かれた。