第3章 2_ハンター試験
その間標的にされた二人はヒソカから一切眼を逸らす小声で話していた。
そしてクラピカの合図により二人は互いに逆方向に走り出した。
「(‥ピエロさんから逃げ切るのは先ず不可能ですね。―――ん?)」
凄い速さで逃げたと思ったレオリオが片手に細い棒を持ち此方に戻って来た。
「(レオリオさんと‥、)」
リトが思案している時、レオリオは叫びながら棒をヒソカに降り下ろす。
「ん~良い顔だ◆」
そんなレオリオを観察しながらその一発を余裕で躱すと背後から攻撃しようと回り込み、素手でレオリオを狙う。
と、その瞬間ヒソカは何処からか飛んで来た物体に当たり、眉の辺りから血を流した。
「(‥‥ゴンさん)」
「ゴン!?」
レオリオは何故此処にゴンが居るのか解らなかったが、ヒソカの標的がゴンに代わったのに対して焦りを感じ、再び攻撃をしようと降り下ろす。
ヒソカはもうレオリオは眼中になく、左拳で顔面を殴る。
レオリオは宙に浮く程の打撃を喰らい、その場で気絶する。
そしてゴンの首に手を伸ばし、力を込める。
ゴンが苦しそうに藻掻き後少しで気を失おうとした時、ヒソカは上空から妙な違和感を感じて見上げる。
「―――!」
ヒソカは眼を見開き避けようと身体を動かすが、その前に‘其れ’により激突され地面にめり込んだ。
「‥‥アレ。思っていたよりも頑丈なんですね」
上空からヒソカの頭を狙い脚を振り下ろしたのは物陰から様子を見ていたリトだった。
「‥君、もしかしてリト?(さっきの妙な気配‥殺気でもない‥◆)」
リトはヒソカを見ることはせず、無表情で話す。
「‥誰の事を言ってるのかは知りませんけど、さっさとその殺気を消してくれませんか?不愉快です」
衣服に付いた土埃を払いながらゴンの様子を見る。
噎せ込んでは居るものの、意識は有るようだった。
「‥‥(‥さて、どうやら金髪さんも此方に向かっているみたいですし行きますかね)」
今度はヒソカを視界に入れる。
「‥後の事は任せましたよ、ピエロさん。――次は‘其れ’だけでは済まさないですから。余計な事は控えて下さい」
そう言い残すとリトは最初から存在していなかったと錯覚させる様に、姿を消した。
「‥‥」
ヒソカの頬と脇腹からは、赤い液体がドロリと流れて居た。