第3章 2_ハンター試験
「さっさと着替えて戻らないと‥」
リトは素早く着替えると帽子を深く被り脱いだ服をシャツに忍ばせる。
「‥‥ん?」
着替え終えて改めて自分の格好を確認すると少し首を傾げ、両手を振る。
「失敗しました。‥ブカブカです」
袖は裾にかけて広がっており、また丈が長くリトの手を隠してしまった。
溜め息をした後、移動を開始する。
「――げ」
気配で試験官の位置を特定したリトは並外れの脚力で走る。
最初は順調に進んで居た。――が、途中で問題が起きた。
「此れ、ピエロさんの‥?」
突如嫌な気配を感じたので立ち止まり其れを探る。
「―――――居た」
今まで以上に自分の気配を消し去り、ヒソカが居るであろう場所に脚を進める。
ヒソカの周りには他の受験者である人間が死んでいた。死因は見れば直ぐに解った。
全員ヒソカの手元に有るカードで頭や首元を正確に切り裂かれて居た。
そしてその場にまだ死んでいない受験者達が何も言えずに其れを見ていた。
「(‥あれは。レオリオさんとクラピカさん‥)」
その中には先程まで共に走っていた人物が二人居た。
レオリオはヒソカのトランプの餌食になったのか、左腕を抑えていた。
すると受験者の中の一人がヒソカに怒鳴り、その最中にヒソカがカードを投げて殺した。
「失礼だな◆君とボクを一緒にするなよ◆冥土の土産に覚えときな、奇術師に不可能はないの◆」
不気味な笑みでそう宣言するヒソカに他の受験者、クラピカとレオリオ以外がヒソカを囲む。
「殺人狂め。二度と試験を受けれない様にしてやる‥!!」
「そうだなあ~‥。君達まとめてこれ一枚で十分かな◆」
ヒソカはトランプの一枚を指に挟み構える。
そこからは一瞬だった。
流れる様にヒソカは次々と襲って来る受験者にトランプを走らせる。
それも全て急所を狙っているので、一度やられた人間はもう起きる事はなかった。
「‥‥‥」
リトは其れを黙って眼を逸らす事なくジッと見ていた。
クラピカやレオリオも眼を逸らしていなかった‥いや、逸らす事が出来ずにヒソカを見ていた。
「君ら全員不合格だね◆」
そう呟いたヒソカの右手には血塗れのトランプが握られて居た。
「残るは君達だけ◆」
ヒソカはゆっくりとクラピカとレオリオに近付く。