第3章 2_ハンター試験
「‥言ってません。‥ぁ、そう言えば医者を目指してるんですよね?なら今包帯とか有りませんか?」
「いーや言ったね!――ってシカトかよ!‥まあ一通り揃ってるけどよ。まさかどっか怪我したのか??」
「いえ、そう言う訳ではないのですが。金は払うのでくれませんか?」
「‥‥いや。金はいいわ。おいゴン!!俺の鞄から包帯くれねえか!」
レオリオの声に気付きゴンは不思議に思ったが言われた通りに包帯を取り出してレオリオに投げる。
礼を言ったレオリオはほらよ、とリトに手渡しをする。
受け取ったリトは包帯とレオリオを交互に見て、レオリオに頭を下げた。
「‥どーも。‥遅れました、僕の名はリターンと言います」
「んな頭下げなくて良いって!リターンか!そういやお前さん、男か?女か??」
外見からは性別が解らないので、レオリオは腕組みをしながら聞いた。
「‥‥どちらだと思いますか?(腕組みして走ってる‥)」
「えっ」
まさか聞き返して来るとは思わなかったので驚く。
「ん~‥、」
レオリオは全身を見るが、やはりどちらとでも捉える事が出来るので小さく息を吐き、降参する。
「わりぃ、降参するから教えてくんねえか?」
「‥男だよ」
少しの沈黙の後に答える。
「男かぁ。ま、宜しくな!」
「‥此方こそ。あの、一旦僕は別行動を取りますね」
そう言うなりリトは一瞬でその場から姿を消した。
「えっ?!」
「‥一瞬で気配が消えた‥?こうも霧が濃いと探しようがないな‥」
レオリオとクラピカは辺りを見渡すが、霧が濃くなってきて、完全にリトを見失った。
一方、前方を走っていたキルアも其れに気付いて後ろを振り向いてリトを探す。
「おいリターンは何処に行ったんだ?!」
「其れがいきなり別行動するってどっかに行っちまったんだ!」
「何だと!?(クソ‥やっと見付けたのに、)」
***
ゴン、キルア、クラピカ、レオリオの四人から距離を置いて人気のない処まで来るとリトはサイズが大きめのパーカーを脱ぐ。
そして先程レオリオから貰った包帯で腕や脚、胸元、最後に口元を覆った。
次に脱いだパーカーの中に手を入れる。
手に掴んだのは帽子と丈が長めのTシャツだった。
「‥忍ばせておいて正解でしたね」