第3章 2_ハンター試験
その数百m後ろを二人の人間が気配を消しながら階段を走って居た。
「わぁ。絶を使ってるのに気付いたよね?」
脚音も消して走るシャルはリトの反応を見て驚く。
一方その隣で同じく走るフェイタンは眼を細める。
「‥彼奴、何者ね」
「‥ねえ、其れより」
シャルは小声でフェイタンに話す。
フェイタンも気付いてたらしく、舌打ちをする。
「‥嗚呼。――何でヒソカが此処に居るね」
「‥さあ?だけど目的はやっぱり‥、」
途中で言葉を止めたシャルの代わりに答える。
「‥彼奴ね」
「だよね‥(‥ヒソカに此処まで興味を持たれるなんて)」
そんな事を考えていると階段が消えて代わりに湿原が現れてた。
***
「‥変なの」
リトの第一声は其れだった。
試験官が説明終えたと思ったその時、建物の蔭から何かを引き摺りながら何かが歩いて来た。
「(‥あれ、人間の気配がしませんね)」
そんな事を思っていると人間らしき者が叫び出した。
人間らしき者は試験官で有るサトツさんを偽物と言い、自分が本物だと言い張った。
「偽物?!どういう事だ!?」
すると直ぐ近くにいる眼鏡を掛けたオジさんが汗を流しながら聞き返して居た。
チラリと見るとリトは思わず固まった。
「ェ、(‥何で上半身‥裸?何でネクタイ?)」
硬直しているとゴンが首を傾げて聞いてくる。
「どうかした?」
「ぁ、ぃゃ。‥変なの見ちゃって」
キルアはリトの見ている方角を眼で追う。
「変なの‥?――あっ!おいオッサン!何だよそのダサい格好!!リターンが固まっちまっただろ!」
「‥ぇ、キルさんの知り合い‥?」
キルアの大声を聞いた‘オッサン’は此方を見る。
「誰がオッサンだ!!まだ10代だって言っただろうが!!」
「うるせーな!誰も今はんな事聞いてないってーの!!」
何やら二人が揉め始めたので、リトはゴンの側に行く。
「おや?リターンじゃないか!」
「‥え?――ぁ」
ゴンの側には金髪の青年が立っていた。
「リターンも受験者だったんだな。‥ならあの時一緒に行けば良かったな」
「‥ぁ、あの時はまだ、迷っていたので」
「そうだったのか」
クラピカとリトの会話を聞いていたゴンは不思議そうに訊ねる。
「ねえ、二人って知り合いだったの?」