第2章 1_突然の出逢い
「‥‥行かないと」
***
「団長!ちょっと問題が有って、リトが居なくなった!」
シャルはフェイタンを連れて広場に来ていた。
「‥何?何処に行ったか目星は?」
「‥うん。戻る途中にハンターライセンスで調べてみたんだけど、あの子の情報は全然なくて‥、でも今年の試験に登録されてない人間が途中参加者として受けてるみたいなんだ」
「試験‥?ハンター試験か」
団長、クロロの言葉に頷く。
「‥どうする?」
シャルは命令を待つ。
もし此処でクロロが追うのを止めると言えば、其れに従うしか無いが、其れでもシャルは出来る事ならリトを追いたかった。
クロロは数分考えた後、シャルを見る。
「なら今直ぐにお前も参加しろ。ライセンスは持っているがお前なら偽装出来るだろう」
クロロの命令を聞いてシャルは余り表情には出さないが嬉しそうに返事をする。
「オーケー!」
「其れと、フェイも行け」
フェイタンは一瞬眼を細めたが、団長命令なので拒否はしない。
「‥解たよ」
その様子を片隅でトランプを弄りながら見ていたヒソカ。
「(‥面白くなりそうだ‥♥)」
***
幻影旅団の次の活動が決定する数十分前――。
リトは試験を受ける為に会場に向かおうとしているのだが、自分が何処に居るのかも解らない状態な上、試験も何処でやるのかも解らない。
「‥困りました。‥あの青年に聞けば良かったですね」
リトは鉄塔に乗り脚をバタつかせながら紅茶シェイクを飲んで居た。
「ん。美味しいです」
まったりとシェイクを飲んでいると、ふと周りの音や色が消えた。
「?」
不思議な感覚に違和感を感じて居ると眼の前に鏡が現れた。
「あれ、この鏡‥あの時の、」
ストローを銜えながら首を傾げる。
すると以前と同じ様に鏡から糸が此方へ伸びて来る。
リトは咄嗟に後ろに遠退く。
しかしそんなのは関係ないとばかり追い掛けて来る糸。
「‥ぁ、」
鉄塔から飛び降りようとしたが其れより先に左腕と腹部を巻き付かれる。
「ぅ、わっ」
そのまま勢いよく引っ張られ、鏡の奥に引きずり込まれた。
***
「‥‥‥」
気が付くと其処は何処かの地下だった。
いまいち状況を把握して居ないが殺気だらけなので周りを見渡す。
すると大勢の人間が此方を伺って居た。