第2章 1_突然の出逢い
「僕が違うと言ってるのだから」
リトは頭の中でこの状況をどうするか考える。
此処で面倒も問題も起こしたく無いからだ。
何せ、此処が何処なのかも知らないし、しかも近くにはあの旅団も居る。
考える事に夢中だったのか、腕を掴まれるまで男に触られた事に気付かなかった。
「ちょ、離してよ」
「うるせぇ。あっちで確認したら帰してやんよ」
「だから僕は女じゃ無いって!」
その時、腕を掴んでいた小太りの男が眼の前から消えた。正確にいうと地面に勢いよく倒れた。
「え、(まだ何もしてないのに‥)」
今度は左側にいた男が倒れ、近くにいた男達も次々と倒れた。
リトは倒れた男達よりも綺麗な金髪を靡かせている青年に釘付けになった。
すると金髪の青年は振り向いて口を開く。
「何をボケッとしている!逃げるぞ!!」
そう言うとリトの腕を掴み走り出す。
「ぇ。‥‥ちょっと!待って下さ、離して!」
「何を言っている?!奴等が追って来たらどうする気だ!?」
「そんなの君には関係ないです!!」
「嗚呼、関係ないさ!だがもう干渉してしまったら、無関係ではないだろ!」
「‥‥‥ッ!」
金髪のに青年の言葉に息を詰まらせた。
***
そしてリトは見知らぬ青年に助けられ、何処のかは不明だが港へ来ていた。
「取り合えず、此処まで来れば安全だろう」
「‥あの、そろそろ手を離してくれると助かります」
「あ、済まない。痛かったか?」
金髪の青年は手を離す。
「‥いや。‥その、どーもです。さっきは」
「当然の事をしただけだ。‥処で、何故あんな裏道に居たんだ?彼処はさっきみたいな連中が彷徨いているから気を付けた方が良いぞ」
「‥理由を見知らぬ人に話す必要有りますか?」
リトの言葉を聞いた青年は少し見開き、微笑みながら口を開いた。
「嗚呼、済まない。紹介が遅れたな。私はクラピカという」
「‥‥(‥クラピカ‥?)」
「良ければ君の名を聞いても構わないか?」
「え?あ、はい。リト、‥じゃ無くてリターン」
「そうか。――っと、もう時間だ」
「時間?」
「嗚呼、此れからハンター試験が有るんだ」
「ハンター、試験‥」
「ではそろそろ行かなくては。また逢えると良いな」
クラピカが踵を返し、完全に姿が見えなくなるとリトは呟く。