第2章 1_突然の出逢い
「だから見張っていても時間を無駄にするだけだと思いますよ?‥時間は大切にしないと」
そう言っておよそ10mの高さは有る寂れた窓を見る。
其れを見ていたフェイタンはすかさず言い返す。
「逃げようとしても無駄よ」
リトは視線をフェイタンに向け、
「悪いけど、今の僕には余りにも情報が少な過ぎるし、まだ信用も納得も出来て無い。だから調べないと。其れにやっぱり迷惑は掛けたくないから‥」
そして窓辺に移る。
「―――?!」
「‥其れじゃ」
フェイタンは声がするまでリトが何処に消えたのか解らなかった。
「おい、待つね!!」
フェイタンも壁を足場にし、追い掛けるが、辿り着く前にリトは窓を割って気配と共に消えた。
***
「フェイタン、どういう訳か話してくれる?」
二人を呼びに来たシャルが見たのはフェイタンが呆然と立っていて、リトの姿が何処にもないところだった。
「フェイタン?聞いてる?」
「‥かた」
「え?」
「‥アイツ、絶を使た訳でもないのにまたく気配がしなかた」
「‥‥取り合えず、団長に伝えないと」
***
「‥なんだ、彼処が古かっただけで表通りに出れば結構人も出店も有るんだ」
リトは人々が賑わう商店街を興味深く見渡しながら歩いていた。
すると数m先に綺麗な金色の髪で、柔らかそうな髪を靡かせて歩いている青年を見付けた。
「‥綺麗」
見とれながら何も考えずに脚を動かしていると、周りを男達に囲まれる。
「‥‥何か?」
さっきまでの気持ちが消え、冷たい眼付きに変わる。
「おめェ男か?女か?――どっちだ」
一人の小太りの男がいきなり性別を聞いて来た。
「‥僕が女に見えたの?随分と可笑しな眼を持ってるんだね」
いつものやり口で乗り切ろうと少し笑みを浮かべて話す。
「ぁあ?お前が性別も解らねえ格好してるからだろう??」
男の言葉にリトは少し眼を大きくする。
「(ん~可笑しいですね。今まで一番此れがバレなかったのに)」
そして左側にいた変な髪型をした男が口を開く。
「おい、本当に男か?証拠はあんのかよ」
「‥どんな格好をしてもそんなの僕の勝手でしょ?其れと、証拠は要らないですよ」