第12章 【甘】ストロベリーに侵されて/月島蛍
昼休み、中庭で友達とお弁当を食べた。遥香に渡したいものがあるからちょっと待っててと言われ、友人二人は私を置いて何処かへ行ってしまった。
お気に入りのいちごのキャンディーを口に入れ、空を眺めながらぼーっとしてると、名前を呼ばれた。名前を呼ばれ、声のする方を見ると月島君。手にはいちごオレ。あ、いちごオレいいな。私も買おう。
「どうしたの月島君?」
「一人でなにしてんの?」
「友達待ってるの。」
「ふーん。」
聞いてきたのは月島君なのに、私の答えに興味なさそうにそう答えると、月島君は手に持っていたいちごオレを差し出した。
「誕生日なんデショ?」
「う、うん!ありがとう!」
まさか月島君から誕生日プレゼントを貰えるとは思わなかったからビックリした。戸惑いながらも差し出されたいちごオレを受け取った。
「えっと、月島君ごめんね!」
「何が?」
「私月島君にあげれるもの何もない!今最後の飴も食べちゃったし!あ、でもこれ朝月島君に断られたやつ!明日なんか持ってくるね!月島君何が好き?」
「いいよ、それで。」
「へ?」
月島君の綺麗な顔が私の目の前に。月島君と私の唇が触れる。そして私の口内をこじ開ける。ヌルりとしたそれが私の口内を侵食していく。初めて感じるその感覚、息が苦しい。そして私の口の中に転がっていたいちごのキャンディーは月島君の口へと転がっていった。
「ごちそうさま。」
ぺろりと唇を舐める姿がなんとも艶かしくて、その色っぽい月島君の姿に心音が加速する。あまりに突然の出来事で私は声も出せずその場にしゃがみ込んだ。それを見た月島君は意地悪な笑みを残して校舎の中へ戻っていった。