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【WJ】短編

第40章 【甘】マイヒーロー/岩泉一


「久しぶりにボーリングやったけど、楽しかったー!」
「ガーターばっかりだったけどな。」
「うるさい!」


 軽く岩泉の足を蹴ると、そんなに怒んなって言って岩泉に頭をポンポンとされた。私の大好きな笑顔付きで。その表情に何も言えなくなる。


「んじゃあ、また来年だね。」
「は?」
「え?」


 ボーリングデートも終わったし、てっきり解散なのだと思っていたのに違うらしい。


「門限あんのか?」
「いや、ないけど。」
「なら、今年最後の時間ぜんぶ俺にくれ。」


 恥ずかしげもなく、サラッとカッコいい台詞を吐き捨てる岩泉に、また私の心臓は騒ぎ出した。岩泉のこういう所好きだけど、心臓に悪い。


「逢崎に見せたいモンがあるんだ。」


 そう言って、再び岩泉に手を引かれ歩き出した。


「何処行くの?」
「行けば分かる。」


 そう言って岩泉はそれ以上何も言わなかった。
 今年最後である十二月三十一日、街を歩く人々は、カップルが多く、皆恋人と仲睦まじい姿であった。他の人から見たら、私達もそう見えるのだろうか。そう見えていて欲しいな。


「ここ乗り越えるぞ。」
「は?」


 岩泉がそう言って指さしたのは、私達の母校である北川第一中学校の正門。夜なのだから勿論正門は鍵が掛かってる。戸惑う私を他所に、岩泉はヒョイっと正門を乗り越えた。


「不法侵入だよ!」
「まあ、そう堅い事言うな。」


 岩泉はそういう悪い事とかしないイメージだったのに。まあ、いい子ちゃんでいろ、なんてそんな事は言わないけど。
 仕方無く私も岩泉がやったのと同じようにとは行かないけど、正門によじ登った。ズボンで来て良かった。下りる時は岩泉の手を借り、無事に敷地内に侵入出来た。


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