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【WJ】短編

第40章 【甘】マイヒーロー/岩泉一


 いざ付き合いだしたからと言って、特に何か変わった訳でも無かった。強いていえば、連絡を取り合うようになったくらい。お互い部活もあったし。三年になり、伊達工はインハイで部活を引退したが、青城は春高予選まで残った。だから、私が引退した後も変わらず岩泉は部活に励んでいた。私も就活があってバタバタしてた。そして、春高予選で準決勝敗退となり部活を引退した岩泉。それから暫くして私も内定を貰え、漸く一段落ついたが、次は岩泉のセンター試験が年明けに控えている。付き合ってからこれと言ってそれらしい事は何も無かったが、先日、岩泉から連絡がきて、今年最後の日、デートに行くことになった。付き合ってから一年経つというのに、休みの日に岩泉と過ごすのはこれが初めての事。デートが決まってからというもの、服はどうしようだとか、何処へ行こうとか色々考えたし、ドキドキもした。岩泉を待つ待ち合わせ場所でも、岩泉が来るまでの間、自分の今の格好がおかしくないか、何度も何度も鏡で確認した。岩泉の大きくてゴツゴツとした男らしい手にドキドキする。心臓が口から出てきそうな気もする。


「ねえ、何処行くの?」
「ボーリング。」


 そう言って岩泉と訪れた近くのボーリング場。ボーリングなんて久しぶりだなあ、なんて思いながら、シューズに履き替えた。
 ゲームが始まれば、次から次へとピンを倒していく岩泉。ストライクを決めた時、よし!とガッツポーズを取る岩泉がなんだか可愛くて、ハイタッチをした時の笑顔なんか私を殺す気なのかって位眩しくて、私がガーターを取り悔しそうな表情をすればそれを笑う岩泉が憎らしかったり愛しかったり。ガーターは悔しいけど、その岩泉の表情を見れただけで何だか幸せな気持ちにもなる。過去に戻れるなら、中学生の私に、岩泉って凄く可愛くてカッコいいんだよって教えてあげたい。そして、もっと中学生の岩泉の事ちゃんと見ててねって伝えたい。当時岩泉に対して恋心を抱いていなかった為、岩泉との思い出とかそういったのが全然ない。折角一緒の学校だったのに勿体無い事をした。


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