第39章 【甘】そのワンコ、野獣につき要注意/灰羽リエーフ
「バスケ部のマネージャーじゃなくて、バレー部のマネージャーになれば良かったなあ。」
「今からでも遅くないっすよ!バレー部のマネージャーやってください!」
「やりたいのは山々なんだけど、もうすぐウィンターカップもあるし、それに受験もねえ。」
十二月の末から始まるウィンターカップ。バレー部と同じく三年が残っているバスケ部はその大会を最後に引退となる。大事な大会を目前にしてマネージャーを辞める訳にもいかないし、ウィンターカップが終わってから、春高までの短期間だけのバレー部のマネージャーなんて、そんな余裕も無い。試合の結果次第ではセンター試験と被ってしまうし。
「リエーフ君みたいな子がバレー部に入るって一年の時から分かってたら絶対バレー部のマネージャーしたのにな。」
「そこは俺みたいな、じゃなくて、俺って断言して下さいよー。」
少し拗ねたような素振りを見せるリエーフ君が可愛くて自然と笑みが零れた。リエーフ君みたいな子とは言ったが、実際はリエーフ君じゃなければ私の気持ちはバレー部に傾かなかったであろう。
「ごめん、ごめん。肉まん半分あげるから許して?」
そう言って、半分に割った肉まんを差し出すと、私が食べ掛けの方の肉まんを私の手を掴んでそのままぱくりと一口で食べてしまった。
「あ!そっちは私の分!」
「どうせ貰うならこっちの方がいいですもん。」
私より大きいし、男の子なのに、女の私より可愛げがあって、本当に可愛い後輩だ。悪戯に笑うその姿も可愛くて堪らない。