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【WJ】短編

第36章 【切甘】居場所/白布賢二郎


「賢二郎と喧嘩したんだって?」


 大平さんにそう声を掛けられた。別に喧嘩なんかしたつもりは無かったのだけど、あのやり取りを見てそう取った人がいたのかもしれない。


「…別にしてませんよ。」
「遥香から見て賢二郎はどう見える?」
「二年生なのに、三年の瀬見さん差し置いて正セッターの座につく凄い人だと思います。」


 三年生の瀬見さんは中学時代、名の知れたセッターだった。そんな瀬見さんを押し退け、正セッターの座を奪い取るなんて、凄いとしか言いようがない。


「ウチにいる殆どがスポーツ推薦での入学者なのは知ってるか?」
「ええ、知ってます。」


 一昨年、徹にも白鳥沢の推薦の話が来てた。でも、徹はその話を蹴った。まあ、一君とバレーをしたかったって言うのが一番の理由だろうけど、徹はウシワカ大嫌いだから、同じチームじゃウシワカを倒せない。ウシワカを倒す為に徹は青城に行った。けど、まだ青城はウシワカには勝てないでいる。いい気味だ。


「今まではレギュラーはスポーツ推薦の奴だけだったんだが、一人だけスポーツ推薦じゃない奴がレギュラー勝ち取ったんだよ。」


 各中学から名選手を集めた白鳥沢。控えの選手やベンチ入り出来てない選手だって有名選手ばっかりだっていうのに、そんな凄い人がいたのかと驚いた。並の努力じゃ絶対にここでレギュラーなんか勝ち取れない筈だ。


「そんな凄い人がいたんですね。卒業生ですか?」
「いいや。賢二郎だよ。」
「え?白布さん、スポーツ推薦じゃないんですか?」
「そうだよ。」


 てっきり白布さんもスポーツ推薦だとばかり思っていた。

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