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【WJ】短編

第4章 【切甘】気付け、バカ/澤村大地


 澤村君と二人きりという事に、緊張して、うまく言葉が出てこない。私は黙って日誌を書き続ける。澤村君はそれをじっと見てる。緊張してペン先が震える。


「逢崎さんは推薦決まってるんだっけ?」
「うん。
皆が一生懸命勉強してるのに、なんかごめんね。」
「部活もやって、成績も良くて、学級委員長もやって、推薦取るまでが大変だったと思うよ。
今まで頑張った成果だろ。」
「澤村君だって、バレー部全国行って、凄かったじゃん。
飛べない烏なんて言われてたのが嘘みたい。」
「皆頑張ってくれたから、俺だけが凄いわけじゃないよ。」


 そう澤村君は言ったけど、澤村君が一年生の時から人一倍練習を頑張ってたのも知ってたし、主将になってから今まで以上に頑張ってたのも知ってた。
 一年生の頃から澤村君のこと好きだったから、つい澤村君を目で追っちゃって、でも、それももうすぐ終わり。あと三ヶ月で卒業。


「三年間、学級委員長大変だったろ?」
「別に大変じゃなかったけど、三年間学級委員やることになるとは思わなかったよ。」
「先生たち、なにかと逢崎さん頼りだったしな。
優等生も大変だな。」
「優等生じゃないよ。
私全然いい子じゃないし。」


 そう言うと澤村君は笑った。
 そう、私は澤村君が思ってくれてる程優等生な訳でも、いい子でもない。結ちゃんが澤村君の事を好きだって知って、応援してるのに、私も澤村君を好きでいるような子なの。応援するふりをして、諦めてと願ってる最低な女なの。こんな事知られたら、澤村君に幻滅されるかな?なんて思っていたのに、澤村君は私をいい子だと何度も褒めてくれる。




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