第4章 【切甘】気付け、バカ/澤村大地
放課後、誰もいない教室、夕日を眺めながら、のんびりと日誌を書いていると、教室のドアが開いた。
「あれ?逢崎さん、まだ残ってたんだ。」
「あ、うん。
澤村君はどうしたの?忘れ物?」
澤村君は、自分の引き出しからノートを取り出し、こっちを見て笑った。
「今、スガと旭と図書室で勉強してんだけど、これ忘れて取りに来たとこ。」
そう言って澤村君は私の席の前に座った。
「日誌、手伝うよ。」
「え、いいよ。
菅原君たち待ってるよ。」
澤村君は大丈夫、大丈夫と言って、日誌をのぞき込む。
「すげー丁寧に書いてんだな。」
「あ、今馬鹿にしたでしょ?」
「してない、してない。
純粋に偉いなって思ったよ。」
澤村君が人を馬鹿にするなんてことしないのは私もよく分かってる。ただ、なんて返していいのか分からず、冗談で返したのに、また澤村君は褒めてくれる。