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【WJ】短編

第34章 【切甘】近過ぎて見えなかったもの/瀬見英太


 部活が終わってからあの量の課題をやるのは絶対キツい。そう思って、休み時間と昼休みを使って課題を解いていた。その為、いつもよりお昼を取るのが遅くなった私。食堂へ向かい、食事を受け取ると、男子バレー部の二年生の白布君と一年生の五色君が一緒に食べていて、五色君の隣が空いていたので、二人に声を掛けた。


「ここいい?」
「逢崎さん、ちわっす!どうぞ。」
「ありがとう。てか、珍しい組み合わせだね?」
「なんか今日やけに食堂混んでて、仕方なくコイツと相席になりました。」
「仕方なくって酷いですよ白布さん!」
「逢崎さんこそ一人なんて珍しいですね。瀬見さんと喧嘩でもしたんですか?」


 英太と一緒にいないだけで、こうも後輩達からそんな風に声を掛けられるとは。


「私だって一人の時もあるよ。」
「そうですか。」


 聞いてきたくせに、返ってきた返事はあまり興味の無さそうなものだった。


「そういえば、逢崎さんは上京しないんですね。太一から聞きました。」
「あ、うん。こっちで進学するつもり。」
「え?そうなんですか?てっきり瀬見さんと同じ所に行くのかと思ってました!二人、いっつも一緒にいるし!」
「幼馴染みだからってずっと一緒って訳にはいかないでしょ。」
「まあそうですけど、俺は瀬見さんと逢崎さんが一緒にいるの見ると落ち着きます!」
「五色君は可愛いなあ。」


 素直で可愛い五色君。頭を撫でるとやめてくださいと言われた。赤くなる五色君。うん、可愛い。


「で、瀬見さんの事どうするんですか?」
「へ?どうするっていうと?」
「ずっとこのままのつもりですか?」
「ちょっと白布君。話が全然見えないんだけど。」
「逢崎さんと瀬見さん見てると焦れったくてイライラするんですよ。」
「ねえ、白布君!私一応君の先輩だから!イライラってなにさ!?」
「二人が離れ離れになったら益々お互いの気持ちに気付かないんじゃないかって心配してるんです。」
「えっと、よく分かんないけど、心配してくれてありがとう?」


 白布君は大きな溜息を吐いた。


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