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【WJ】短編

第34章 【切甘】近過ぎて見えなかったもの/瀬見英太


 食事を取り終えた所で、英太と覚、若利、獅音もやって来た。


「それじゃあ私朝練あるからお先ー。」


 そう隼人と川西君に言って食事を出ようとしたが、英太に捕まった。


「なんで今日そんな早いんだよ?」
「たまたま朝早く目が覚めてお腹が減ってただけですー。」
「つーか、昨日、」
「私朝練あるんだけど。」


 そう言って掴まれた手を振りほどいて逃げるようにして食堂を出た。…今の感じ悪かったかな?なんて思いもしたけど、いつだって英太にはそんな感じだったし、何を今更気にしてるんだ。そう思って、一人プールで泳いだ。泳げば嫌な事とか、そういうの忘れられるって思ったのに、泳いでも泳いでも、浮かぶのはあの進路希望調査のプリント。なんで一々私が英太の進学先なんか気にしないといけないのよ。阿呆らしい。

 朝練を終え、校舎へ向かうと、下足室でバレー部と遭遇。英太は同じクラスのなんとかさんと仲良さそうに喋っていて、それがなんだか無性に腹立たしくて、英太を蹴った。


「いってーな!何すんだよ!」
「邪魔。」


 あれ?おかしいな。今まで英太がどこの誰と仲良くしてようがムカつくなんて事なかったのに。なんでか今日はムカついた。同じクラスの若利と隼人と共に教室へと向かった。


「なんかお前、朝メシの時からおかしくね?」
「至って普通ですが。」
「英太と喧嘩でもしてんのか?」
「英太と喧嘩なんていつもの事じゃん。」
「そうだけどよ、遥香がヤキモチやくなんて珍しいなって思って。」
「はあ?ヤキモチ?私が英太に?そんな訳ないじゃん!」


 今まで英太がどこの誰と話してようがなんとも思った事は無い。歴代の英太の彼女達を見てもなんとも思わなかった。それが突然クラスの女子と仲良く喋ってたからってヤキモチなんて、そんな馬鹿な話あるか。


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