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【WJ】短編

第34章 【切甘】近過ぎて見えなかったもの/瀬見英太


「きてるっちゃ、きてるけどさ…、」


 小学生の頃からずっとやってる水泳。長くやってるせいもあってか、中学、高校と全国大会に出場し、優勝こそは出来なかったものの割といい成績を残せていた。その為、大学からも数件推薦がきてる。けど、イマイチその推薦に乗り気になれなかった。高校の時も白鳥沢以外からも推薦がきていた。その中から何故白鳥沢を選んだのかというと、宮城県きってのバレーの強豪校であり、英太が白鳥沢のスポーツ推薦を受けたからだ。英太が白鳥沢じゃない所を選んでたら、多分私も白鳥沢じゃなく、英太が選んだ所を受けただろう。英太とずっと一緒にいるもんだから、英太のいない生活っていうのが想像出来ないのだ。そう思う所からして、だいぶ私は英太に依存してる気がする。お昼だって、一年の時からバレー部の面々と三年間結局毎日取ってるし。あれ?よくよく考えると私のこの状況って女子高生としてまずくないか?あ、そういえば、歴代の彼氏と別れる原因になったのも英太だ。


「もう、いい加減付き合っちゃえば?」
「いや、ないない。英太は絶対ない。英太と付き合う位なら覚と付き合うよ。」
「ホント!?」
「ごめん嘘。覚も無理。」
「上げといて落とすのやめてよネ~。期待しちゃったじゃん。」
「遥香と付き合いたいの?やめとけって。コイツはマジでオススメしない。イビキうるさいし。」
「はあー?英太だって歯軋りうるさいんですけど。」
「もう高校生なんだからいい加減一緒に寝るのやめなさいよ。そんなんだから二人共彼氏彼女に振られるんだヨ。」


 〝二人共〟と覚が言ったのは、英太が彼女に振られる理由が、私だからだ。なんでも、私は英太に特別扱いされているらしい。それが耐えられないのだと。英太に特別扱いされてるなんて思った事はない。どちらかというと雑に扱われてる気がする。まあ、私も英太に対しては雑だから文句は言えないけど。

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