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【WJ】短編

第34章 【切甘】近過ぎて見えなかったもの/瀬見英太


 英太とはかれこれ十八年の付き合いになる。家が隣同士で母親達も中学生からの長い友人関係で、父親同士も高校生からの友人関係。そんな瀬見家とは家族ぐるみで仲が良く、幼稚園、小学校、中学校も英太とずっと一緒。終いには、白鳥沢学園からスポーツ推薦を貰った英太と私は高校まで一緒。幼馴染みというよりは、親友と言った方がしっくりくる。高校生になり、お互い寮に入ったが、その寮も隣同士。このまま行くと大学まで英太と同じ所に行くハメになりそうだ。
 白鳥沢に入ってすぐ、一年生の時に同じクラスだった覚には、え?何?英太君と遥香ちゃんって付き合ってんの?なんて言われたけど、英太とはそういう関係じゃない。お互い中学の時には別に彼氏、彼女もいたし。ていうか、英太が彼氏とかマジ勘弁。見た目こそはイケメンな英太だけど、私服が頗るダサい。ダサダサ英太が彼氏なんて私のセンスまで疑われてしまう。なんて言ったら、お前そんな事思ってたのかよ!って言われた。それに覚もうん、確かに英太君の私服はないよネ、と同意してくれた。


「英太、大学どうすんの?」
「遥香はどうすんの?」
「決まって無いから聞いてんじゃん。もう英太と同じとこでいいかな。」
「大事な進路を俺に委ねるな。」
「生まれた時からずっと一緒にいるし、英太と離れる生活なんて想像出来ないんだよねー。」
「確かにな。」


 そんな会話を隣で聞いていた覚に、アレアレ?やっぱりそんな感じになっちゃった?なんて言われたけど、残念乍覚の思っているような甘い関係は私達二人の間には無い。


「つーか、遥香推薦きてんじゃねえの?俺と違って、お前は水泳部のエースなんだし。」


 英太だって中学の時はそこそこ名の知れたセッターだった。でも、英太は白鳥沢では正セッターでは無く、ピンチサーバー。一つ下の白布君に正セッターの座を奪われ、奪還も叶わぬまま三年生へと進級した。

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