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【WJ】短編

第33章 【甘】そのままの君でいて/爆豪勝己


「…ごめんね、勝己君。助けてくれてありがとう。私、強くなるからね。お兄ちゃんを勝己君から守れる位強くなるから。」
「馬鹿かお前は。」


 お兄ちゃんを虐めている張本人である勝己君にそんな事を言うのは自分でも馬鹿げてると思う。ていうか、守れるようになる、じゃなくて、お兄ちゃんを虐めないでと言った方が良かっただろう。でも、勝己君の気持ちも知っていたから、安易にそんな事言えなかった。


「遥香は強くならなくていい。」
「…私だって、本当はヒーローになりたいもん。」
「なるな。」


 勝己君にそう言われると本当にヒーローになっちゃいけない。そう思えてしまう。だからそれがまた悲しかった。


「遥香の事は俺が守るから弱いまんまでいいんだよ。」
「…嫌だ。強くなるもん。」
「遥香のくせに生意気言うな。」


 涙を掬ってくれていた勝己君の手が私の鼻を摘んだ。予想外の行動に思わずふぎゃっと変な声が出た。


「なんだよ、ふぎゃって。」


 私の奇声が可笑しかったのか、勝己君は笑った。お兄ちゃんといる時もそうやって昔みたいに笑ってくれたらいいのに。でも、そんな事言えない。お兄ちゃんの事も勝己君の事も好き。だから言えない。


「いいか、お前が雄英に入学する事は許す。でもヒーロー科はダメだ。分かったな?」
「私もヒーローに、」
「ダメだつってんだろ。お前はヒーローになった俺の帰りを温かい飯を作って待つ。そう決まってんだよ。」
「大人になったら勝己君は家で暮らすの?お母さんとお兄ちゃんと私と勝己君で?」


 ヒーローになったらお兄ちゃんと昔みたいに仲良く出来るって意味なのだろうか?男の子ってよく分からない。


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