第3章 【切甘】孤独な王様/影山飛雄
試合が始まると、烏野のミスが続き、あっという間に青葉城西のセットポイント。サーブは試合開始からオドオドし、ミスを連発するおチビちゃん。ホイッスルの音ともにあげられたサーブは物凄い音をたてて、飛雄の後頭部へ。
「ナイス後頭部!」
チームメイトから笑い声が上がった。
私は咄嗟にアイシングをしようと、救急セットに手をかけたが、勇太郎に手をつかまれた。
「おい、いつまで飛雄のマネージャーのつもりでいるんだよ。」
その言葉に私は救急セットから手を離した。
私は、もう北川第一のマネージャーじゃない。烏野のマネージャーなわけでもない。私は青葉城西のマネージャー。
「…ごめん。」
そうして、第二セットが始まった。
試合が始まってすぐ、飛雄がトスをあげ、それにおチビちゃんが飛んだ。が、空振り。
「悪い、今のトス少し高かった。」
うそ、飛雄が謝った…。飛雄が謝る姿なんて初めて見た。
驚いたのも束の間、飛雄とおチビちゃんの速攻が決まった。
「何、今のはやっ…!」
飛雄がトスを上げた時には既におチビちゃんが飛んでいて、誰一人としてその速攻に反応できなかった。
烏野の速攻にペースを乱され、第二セットを取られた。