第3章 【切甘】孤独な王様/影山飛雄
「アララッ、一セット取られちゃったんですか!」
「おお!戻ったのか!足はどうだった!」
「バッチリです!もう通常の練習イケます!軽い捻挫でしたしね。」
主将の及川さんが戻ってきた。
「やっほートビオちゃん、久しぶりー育ったねー。元気に王様やってるー?」
そう言って飛雄を茶化しに行った及川さんの頭を私は持っていたノートで思いっきり叩いた。
「いったー!遥香ちゃん、先輩の頭を叩かないでよー。」
「飛雄を茶化すのはやめてください。」
その時、飛雄と目があったけど、なんて声をかけていいかわからず、私は目を逸らした。
「とにかくお前はアップとってこい!いつもより念入りにだぞ!」
監督に促され、及川さんはアップをしに、体育館を出た。