第23章 【切甘(R18)】閉じ込めた恋心/及川徹
『危機感をちゃんと持って欲しかっただけ』
及川君のあの言葉を思い出した。こんな時に及川君の顔が思い浮かぶなんて。
「おい!何やってんだよ!」
「お、い、かわ、くん…?」
目の前には及川君がいた。なんで…?授業中である筈の及川君が何故保健室にいるのか。てか、私、こんな格好みられて恥ずかしい…!胸元は大きくはだけ、スカートは大腿部まで捲られ、生徒に体をまさぐられている。その状況を目にした及川君は男子生徒から私を引き離し、その子を思いっきり殴った。
「きゃあ!」
酷く怖い顔をした及川君。顔を殴られた生徒は舌打ちをし、及川君に掴みかかった。
「バレー部の主将が暴力事件なんて、大会出られなくなんぞ?」
「脅しのつもりか?言いふらしたいなら好きにしろよ。まあ、そんなの誰も信じないと思うよ?」
確かに、人気者である及川君が暴力沙汰なんて、男子生徒が言い張った所で及川君に対する僻みからの狂言としか思われないだろう。及川君は成績も良く、素行もいい。部活でも優秀な成績を残している優等生。事実確認の為に呼ばれる事はあっても、及川君が違うと言えばきっと皆及川君を信じるだろう。私が当事者じゃなかったとして、この話を聞いたら間違えなく及川君を信じる。
及川君の発言に男子生徒は覚えとけよ、とお決まりの捨て台詞を吐いて保健室を出て行った。
「…あの、及川君、ありがとう…。」
「…遥香ちゃん先生、俺言ったよね?危機感持てって。なのに、なんであんな奴に好き勝手されてんの?俺が来なかったらどうしてたの?」
及川君が来なかったら、そんな事を考えると体が震えた。
「遥香ちゃん先生は口で言っても分かんないみたいだからこっちに教えるしかないね。」
先程のベッドに今度は及川君に押し倒され、既に乱れていた衣服は簡単に及川君の手の侵入を許した。