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【WJ】短編

第23章 【切甘(R18)】閉じ込めた恋心/及川徹


「ねえ、遥香ちゃん先生聞いてる?」
「え、あ、うん!聞いてるよ!」


 本当に?なんて少しムッとした表情を浮かべる女生徒。同姓でありながらも可愛い彼女のその仕草にドキッとしてしまった。


「やっぱり私魅力ないのかなー?」
「そんな事ないよ。凄く可愛いと思うよ。」


 少し前までは中学生であった彼女の口からでた〝魅力がない〟というその台詞。最近の若い子はホントなんていうか色々凄いよな。三月までは中学生だったと思えないような体の成長っぷり。可愛らしい容姿。女の私から見てもその子は可愛くて、恋愛面に関しては何不自由なさそうなのに、彼女は生まれて初めて躓いたと言う。


「だって及川さん全然私の事相手にしてくれないし。」


 そんな可愛らしい彼女の想い人は、やはり及川君。入学して一目惚れして以来猛アタック中らしいが、ちっとも相手にしてもらえないという。


「遥香ちゃん先生、私どうしたらいいかな?思い付く限りの事はやったつもりなんだけど、及川さん何やってもいつも通りだし、自信なくしちゃう。」
「まあ、及川君モテるからねー。慣れちゃってるのかな?」
「遥香ちゃん先生だったらどうする?」
「へ?私?」
「ここはもう年下の可愛さで押し出すよりも、大人な魅力で押し出した方がいいかなって思ってるんだけど。遥香ちゃん先生だったらどうやって男落とす?」
「いや、私そういうタイプじゃないし。」
「えー。なんか、こう、男心をぐっと鷲掴み出来るような必殺技みたいなのないの?」
「そんなのあったら私が知りたいよ。」


 相談ばかり受けてはいるが、残念ながらこれといって男性経験が凄いだとか、絶世の美女だとかそういう訳ではない。昔から遥香には不思議と何でも相談出来ちゃう、そう言われる事が多く、今回の恋愛相談もその類なのだ。


「私絶対諦めない。遥香ちゃん先生応援してくれる?」
「ええ、勿論よ。」


 そうやって前向きに恋愛と向き合える彼女達が心の底から羨ましかった。でも、私が高校生だったとして、あの人気者の及川君相手に彼女のように頑張ると言えただろうか。きっと私は、周りの人達の頑張ってる姿に圧倒されてただ見てるだけだろうな、と過去の恋愛を思い出し、そう思った。

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