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【WJ】短編

第19章 【甘】ありったけの愛をどうぞ召し上がれ/灰羽リエーフ


 台所に立ち、お米を少し硬めに炊き、油揚げを半分に切り、調味料を入れた鍋に油揚げを入れ、落し蓋をし煮込んだ。炊き上がったごはんにすし酢をかけ、うちわで仰いでいると、背後から伸びてきた長い腕に抱きしめられた。


「俺もやりたい!」


 アリサさんから借りてきたのか、男の人がするには可愛すぎるエプロンを身につけたリエーフ。その姿に思わず笑いが溢れた。


「それじゃあ一緒に作ろうか。」


 リエーフにうちわを渡し、ガリとみょうがを切った。そしてそれをリエーフが冷ましてくれたごはんの中に入れ混ぜた。


「こんな風に握っていってくれる?」


 すし酢を手につけ、ごはんを掬い、俵型に握ってみせると、リエーフは分かったと言ってごはんを手に取った。その間私は先程煮込んだ油揚げをフライパンから取り出し、煮汁を軽く搾った。そして、リエーフの握って少し大きな俵型になったごはんをその油揚げの中に詰めた。


「うおー!おいなりさんだ!俺もやりたい!」


 そう言ってリエーフは私がしたのと同じように油揚げの中にごはんを詰めた。こうやってリエーフと隣に並んでごはんを作るなんて、なんだか新婚さんみたいで嬉しかった。


「よし、完成!」


 お皿に沢山のおいなりさんが並んだ。それを見てリエーフは子供みたいに喜んだ。他に準備した料理たちをリビングのテーブルに運び、一気に誕生日っぽい雰囲気に。


「うわー凄い、これ遥香ちゃんが作ったの?」


 タイミング良くリビングにやって来たアリサさんはテーブルに並ぶ料理に目を輝かせた。


「アリサさんも一緒に食べましょう。」
「ごめんね、私ちょっと用事があって、今から出ないと行けないの。帰ってきたら食べるから、私の分も残しておいてくれる?」


 折角のリエーフの誕生日なのに、アリサさんも一緒にごはんを食べれないのは残念だったけど仕方が無い。


「遥香ちゃん、レーヴォチカ行ってくるね。」
「姉ちゃん、外暗いから気を付けてよ。」


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