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【WJ】短編

第17章 【甘】君と描く未来/烏養繋心


 そんな気持ちを抱えたまま迎えた春高。惜しくも三回戦で敗退し、音駒も同じく三回戦敗退となり、実現する事の出来なかった公式戦でのゴミ捨て場の決戦。一番悔しいのは試合に出たアイツらだと分かっていたが、春から監督を任され、武田先生と共に見てきたアイツらの涙を見て、俺自身も悔しくてたまらなかった。もっと、やってやれることがあったんじゃないかと、後悔の気持ちもあった。
 澤村、菅原、東峰は部活を引退。そしてバレー部の新主将に縁下、副主将に田中。インターハイに向け、新体制で練習に励んだ。

 春高を終え、忙しいという理由で会うのを避けていた逢崎と久しぶりに会う事になった。いつもは昼間に外で会う事が多かったが、今回は逢崎の家で飲むということになり、初めて逢崎の家に上がった。初めて食べる彼女の手料理。美味いと褒める俺に、鍋だから誰が作っても美味しいですよ、なんて言って彼女は笑った。酒がすすんだこともあってか、


「春高お疲れ様でした。烏野高校バレー部が全国大会に出場出来たのは勿論選手の頑張りがあったからだと思います。でも、それを支え、導いてくれる良き主導者がいたからこその結果だと私は思います。」


 その言葉に目頭が熱くなった。そして、隣に座る彼女を抱き締めた。


「結婚を前提に俺と付き合って欲しい。」


 色んな言い訳をつけておれは逢崎から逃げていた。でも、俺はもう逢崎なしじゃダメだ。


「私で良ければ、宜しくお願いします。」


 そう言って俺の胸の中で涙を流しながらも優しく微笑んでくれた逢崎が愛おしくて堪らなかった。そして、その日逢崎を抱いた。付き合ってその日にやるなんて性欲を抑えられないガキじゃねーかと思いつつも、彼女の温もりを直で感じたくて…なんて言い訳くさいか。


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