第17章 【甘】君と描く未来/烏養繋心
「もし、御迷惑で無かったらまた日を改めてお会いしていただけますか?」
それはつまり、また彼女と会えるという事。お互い結婚するつもりでもないのに、それは紹介者であるオバチャンに期待を持たしてしまう結果になると分かっていた。だから、断わるべきだと思った。なのに、俺はそれを了承してしまった。
彼女と別れ、その日の晩、オバチャンから電話がかかってきて、遥香ちゃんいい子でしょ?烏養君絶対気に入ると思ったのよね、なんて話が延々と続いた。
そして、彼女と会う約束をした二週間後の日曜日。待ち合わせ場所に既に彼女は来ていて、着物姿しか見ていなかったこともあって、私服姿は新鮮だった。長く彼女のいなかった俺は何処に連れていけば彼女が喜ぶかイマイチピンとこなかった。が、彼女は終始優しい笑みを浮かべ、俺の話をよく聞いてくれたし、居心地が良かった。何度か彼女と会ううちに、彼女に惹かれているのだと気付いた。が、相手はまだ二十四。まだ遊びたいだろうし、俺だってまだやりたいこともある。それに、俺はいい歳して髪は金髪。目付きの悪さは生まれつきでどうしようもないが、お淑やかな彼女の隣に立つには柄が悪い。それは自分が一番良く分かっていた。不釣り合いだと分かっていた筈なのに、彼女を手放したくない自分がいた。付き合って欲しいと言ったら、彼女は何と言うだろうか。こうして、二人で会ったりしてる訳だから、嫌われてる訳ではないと思うが、彼女の隣に立つ自信がなかった。バレー部の連中にらなんやかんや偉そうな事言ってる癖に情けねえ。