第17章 【甘】君と描く未来/烏養繋心
遥香と付き合い出してからも関係は良好。大会前は練習やら合宿やらで構ってやれないが、そんな俺に文句一つ言わなかった。俺には勿体ないくらい出来た彼女だった。結婚を前提に、なんて言って付き合い出したはいいが、その結婚のタイミングも何時がいいのか分からなかった。
その年のインターハイ、惜しくも決勝で白鳥沢に破れ準優勝。春高代表決定戦は伊達工を下し春高に進出。そして、念願の公式戦でのゴミ捨て場の決戦が叶った。そして2-1で音駒をくだし、準決勝に駒を進めたが、準決勝敗退。縁下達は部活を引退、そして新主将に月島、副主将に山口。新年度になり、二年連続春高進出した事もあってか、今年の一年はいい奴ぞろいで、今年こそ全国制覇を狙える年だと確信した。そして、全国制覇を成し遂げたら、その時遥香にプロポーズをしようと決めた。そして、春高で烏野バレー部は全国制覇を成し遂げた。公式戦でのゴミ捨て場の決戦は叶わず、悔しさも残っただろうが、コイツらは全国制覇を成し遂げたのだ。コイツらが決めたんだ。次は俺の番だと意気込んで、金髪だった髪を黒く染めた。そんな俺を見た日向達は似合わないと笑ったが、それは自分でもよく分かっていた。
そして、二年前、交際を始めたその日、俺はプロポーズをした。
「この先の人生、遥香と一緒に歩んで行きてえ。俺と結婚して欲しい。」
その言葉に逢崎は涙を流し、指輪を受け取ってくれた。
「二年も待たせて悪かったな。」
「繋心さんと家族になれるなんて私は幸せです。」
俺には不釣り合いだとかそんな言葉を並べ逃げてきた俺だったけど、この先の未来、共に生きていくパートナーとして俺には遥香が必要不可欠だった。この先喧嘩もあるかもしれない。また仕事も忙しくなるだろう。子供も生まれ親になる日もいずれ来るだろう。そんな未来を思い描きながら、俺は胸の中で泣きながらしがみつく彼女を一生大切に、幸せにしてやろうと思った。
…ℯꫛᎴ
2016/10/10 永眠された烏養繋心さんの声優である田中一成様。あなたが烏養繋心さん役であったことを心より嬉しく思います。どうか安らかにお休みください。