第17章 【甘】君と描く未来/烏養繋心
「烏野高校のバレー部の監督さん…なんですよね?」
「え、あ、はい。」
「先日の春高代表決定戦テレビで拝見しました。とは言っても、最初から見ていた訳じゃないんですけどね。烏養さんのあの言葉に感銘を受けて…下を向くんじゃない、バレーは常に上を向くスポーツだ、って。」
「年甲斐にもなく熱く叫んじゃってお恥ずかしい。」
まさかテレビ中継ではっきりそれが映ってたとは知らず、少し恥ずかしくなった。
「いえ、とてもカッコよかったです。それで、おば様が烏養さんとお知り合いとお聞きして、無理を言ってこうやってお会いする機会を作っていただいたんです。」
照れたように話す彼女。だけど、言葉は真っ直ぐで、その言葉に心が温かくなるような感じがした。面と向かってカッコいいなんて言われたことなんてねーから、照れくさかったけど。
「まさかお見合いという形でお会いする事になるとは思わなくて…すみません。」
「いや、その、こちらこそ。こんなんですみません。」
彼女は俺より二つ年下。まだ二十四歳。結婚を考えるにしてもまだ早いだろうし、わざわざ俺みたいな奴とお見合いなんて、と思っていた。俺に会ってみたかったってだけで、結婚する気なんてないだろうし、と自分の中でそう結論付けた。可愛らしい人だし、話し方なんかからも育ちの良さが分かる。わざわざお見合いなんかしなくても、相手なんていくらでもいるだろうし。そう思ったのに、自分で出した答えに納得出来ていなかった。